金沢市議会 > 1988-03-10 >
03月10日-03号

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  1. 金沢市議会 1988-03-10
    03月10日-03号


    取得元: 金沢市議会公式サイト
    最終取得日: 2021-05-05
    昭和63年  3月 定例会(第1回)  昭和63年3月10日(月曜日)●出席議員(42名) 議長    北市朗君           副議長     越野迪子君 1番    石坂修一君         2番      朝倉忍君 3番    安達前君          4番      的場豊征君 5番    中村勲君          6番      中村正君 7番    木下和吉君         8番      森尾嘉昭君 10番   本間勝美君         11番     南部康昭君 12番   山田透君          13番     升きよみ君 14番   杉浦常男君         15番     野本昇君 16番   小津正昭君         17番     上田忠信君 18番   干田哲郎君         19番     田中昭吉君 20番   西村直則君         21番     井沢義武君 22番   中川外司君         23番     北井博君 25番   不破実君          26番     松本捷男君 27番   鴻野博司君         28番     山田初雄君 31番   出石輝夫君         32番     大谷正男君 33番   寺中隆善君         34番     川紘一君 35番   中野光弘君         36番     平田誠一君 37番   山本利夫君         38番     村池久一君 39番   長井賢誓君         40番     神川利男君 41番   勝田三郎君         42番     末岡尚君 43番   吉田勉君          44番     中村外次君●欠席議員(なし)●欠員    9番  30番●説明のため出席した者市長        江川昇君        助役        山出保君収入役       駒谷良則君公営企業管理者   渡辺次男君       教育 委員長     林勝次君企画調整部長    中村豊君        総務部長      乙村董君財務部長      柴田豊君        農林部長      米尾貞夫君市民部長      岩井純雄君       保健公害部長    清水勇君福祉部長      細野昇君        生活環境部長    中元好君土木部長      近藤長明君       都市建設部長    油屋賢三君                      美術工芸大学下水道部長     万行昭吉君       事務局長      若林悟君教育長       奥清君         消防長       和田勇君中央卸売市場長   市村博君財政課長      佐子田正君●職務のため出席した事務局職員事務局長      中村 博君       議事調査議事調査課長    源田久男君       課長補佐      若林暢夫君議事係長      古田秀一君       調査係長      前平邦彦君主査        黒澤和規君       主任        中村和子君書記        縄 寛敏君       書記        北村栄一君書記        森田勝君        書記        福浦基男君総務課長補佐    谷昇君         主査        木多義隆君●議事日程(第3号)  昭和63年3月10日(木)午前10時開議 日程第1 議案第1号昭和63年度金沢市一般会計予算ないし議案第64号市道路線変更についておよび報告第1号専決処分の報告について(質疑) 日程第2 一般質問●本日の会議に付した事件  議事日程(第3号)に同じ午前10時4分 開議 △開議 ○議長(北市朗君) 本日の出席議員数は、ただいまのところ42名であります。 よって、会議の定足数に達しておりますので、これより本日の会議を開きます。 △会議時間の延長について ○議長(北市朗君) あらかじめ本日の会議時間を延長いたしておきます。 △議案上程 ○議長(北市朗君) これより、日程第1議案第1号昭和63年度金沢市一般会計予算ないし議案第64号市道路線変更について及び報告第1号専決処分の報告について、以上の議案64件、報告1件を一括して議題といたします。 △質疑・一般質問 ○議長(北市朗君) これより、質疑並びに日程第2一般質問をあわせ行います。 通告がありますので、これより順次発言を許します。 42番末岡尚君。   〔42番末岡尚君登壇〕(拍手) ◆42番(末岡尚君) 昭和63年定例第1回金沢市議会に当たり、私は、自由民主党金沢市議員会を代表いたしまして、以下数点にわたり質問をいたします。 質問の第1点は、昭和63年度予算案についてであります。依然として継続される国庫補助金の削減や公共事業拡大に伴う負担増など厳しい財政事情にもかかわらず、市制100 周年記念事業、昭和66年国体を控え、予算の重点的かつ効率的配分を行い、6年ぶりの積極型予算を編成されましたこと、また、市長がかねてから申されている「教育と福祉は後退させない」という信念を貫かれ、その充実に特段の意を用いられたこと、さらには市債償還財源の計画的確保を図り、長期的視点に立った財政運営に資するため減債基金を創設されたことなど、積極性と堅実さを兼ね備えたその手がたい財政手腕を高く評価いたしたいと思うのであります。 以上の評価を踏まえ、以下数点についてお尋ねをいたします。 さて、63年度は、江川市政にとって10年という一つの節目に当たる年であり、さきの提案理由でも述べられましたように、21世紀を指呼の間にして、将来の都市づくりを目指す新しい出発の年でもあるのであります。また、結果的に一般会計で1,000 億円を突破するという本市にとって記念すべき予算となったのでありますが、市長におかれては、昭和63年度予算の編成に当たって、指向する金沢をどのように描かれたのか、まずお伺いをいたします。 第2に、市税収入の見通しについてであります。内需拡大による景気の回復基調が伝えられておりますが、一方において続伸する円高など、依然、経済情勢は不透明と言わざるを得ないのであります。そこで、法人市民税は、対前年度当初比で26.8%の伸びを見込まれておられるのでありますが、この積算の根拠はどこに求められたのか、市税収入の見込みにあわせてお聞きしておきたいのであります。 第3は、公共料金についてであります。市当局におかれましては、現下の厳しい市民生活を十分に考慮され、ガス料金のさらなる引き下げを図られ、今年度を上回る市費持ち出しによる保育料の据え置き、また市営地方競馬事業費特別会計からの繰り入れ増を図り、国保料料率を2年連続据え置かれるなど、思い切った公共料金の抑制に努力されたことに深く敬意を表する次第であります。 ただ、水道料金につきましては、比較的大きな改定となったのでありますが、これも過去3年間料金を据え置いてこられたことや、県水受水量の増加を考慮した場合、やむを得ないものと思うのであります。市長は、今回の公共料金の改定に際してどのような考え方で臨まれたのか、お聞きをしたいのであります。 第4は、公共投資についてであります。公共投資につきましては、本年度国の総合経済対策に呼応され、内需拡大による景気対策に大きく寄与されたわけでありますが、明年度におきましても、後世の市民に継承すべき都市基盤の一層の整備充実を図るため、また、本市経済の安定を持続するためにも、公共事業の推進が強く求められているのであります。そこで、いよいよ本格化する金沢駅周辺を初めとする都心軸の整備についてでありますが、金沢の玄関であり、金沢の顔とも言うべき駅周辺の整備にかける抱負と見通しをお伺いしたいのであります。 さらに、市民要望の強い下水道の整備等には格段の御努力を望むものでありますが、市長の御所信をお伺いしたいのであります。 さて、下水道事業に関してでありますが、63年度末における建設改良債の発行残高が約600 億円2達すると聞き及ぶのであります。今後、事業が郊外部へ移行していく状況の中で、投資効率の面からますます建設改良債の償還が下水道財政を圧迫していくことが予測されますが、どのように対処していくお考えか、お伺いをしたいのであります。 第5は、県民オーケストラの設立に関してであります。県民オーケストラ設立そのものは、県民・市民の文化の高揚に資するものとして一定の評価はいたしますものの、仄聞するところによりますれば、県においては毎年1億円余もの赤字を覚悟しているようであり、本市にも少なくない負担を求められているようであります。しかしながら、安易に負担を受け入れるのではなく、県当局に対し慎重に運営するよう強く働きかけるべきと思うのでありますが、御所信をお伺いしたいのであります。 この問題の最後に、事務事業の推進のための執行体制について触れておきたい思います。さきにも述べてまいったところでありますが、今後国体関連事業駅周辺整備など大型プロジェクトがメジロ押しの上に、市民が待ち望んだ新市立病院の開院が予定されるなど、新たな事務事業の増加が予測されているのであります。今予算におきましてもこのことに的確に対応され、昭和56年度以来7年ぶりに職員定数の増を図られたわけでありますが、職員の定数増のみでは今後の各種施策の推進に一抹の不安を禁じ得ないのであります。そこで、市長が提案理由説明で述べられました「事務量は増大しているとはいうものの、これからの時代に即した執行体制を考えてまいりたい」という点について、具体的にどのように考えておられるのか、また、この際、現執行体制の見直しを提言いたしたいのでありますが、市長の御所見をお伺いしたいのであります。 質問の第2点は、北陸新幹線の建設についてであります。各位も御承知のとおり、北陸新幹線の建設はオイルショックの影響を受け、一時建設凍結という憂き目を見ましたが、その後、工事実施計画の認可申請や凍結解除の閣議決定など、その実現に向けて一歩一歩着実な前進を見てきたところであります。しかしながら、63年度国家予算編成の過程においてこの北陸新幹線の本格着工がまたも先送りとなったことは、極めて遺憾と言わざるを得ません。申し上げるまでもなく、北陸新幹線の建設は、国土の均衡ある発展と沿線地域の飛躍的な発展を図る上で不可欠であり、また、四全総が目指す多極分散型国土の形成や、竹下内閣が掲げる「ふるさと創生論」の実現にもつながるものだけに、何としても早期本格着工にこぎつけなければならないのであります。 整備新幹線の建設問題については、現在、政府・自民党から成る整備新幹線建設促進委員会において検討が進められており、本年8月までに、既に工事実施計画の認可申請が出ている北陸、東北、九州・鹿児島ルートの3線の優先順位と財源問題について結論が出されることになっております。中でも北陸新幹線は、首都圏と近畿圏に直結し、東海道新幹線の代替機能を果たすことや、3線の中で最も採算性が高いことなどから、その優位性が伝えられており、優先着工に明るい期待が持たれているところであります。一方、建設着工に当たっては、財源問題や在来線廃止の可否など多くの問題解決が迫られているのも事実でありますが、もはや地域住民の悲願である北陸新幹線の建設をこれ以上先送りすることは許されないのであります。 ともあれ、これから8月にかけてがまさに正念場であり、市長におかれては、北陸新幹線優先即時本格着工をかち取るため、これまで以上に中央に強く働きかけるべきと思うのでありますが、北陸新幹線建設にかける市長の不退転の決意と優先着工の見通し及び今後の具体的取り組み方について、御所信を承りたいのであります。 質問の第3点は、本市農業の育成と振興策についてであります。今日、我が国の農業は、農産物の輸入自由化を初め米の生産調整、農家経営の安定等、幾多の懸案を抱え、速やかなその対応と解決が強く求められているところであります。なかんずく、我が国に対する農産物輸入自由化要求は日増しにその勢いを強め、さきにもこれに関するガットの勧告が出されているというまことに厳しい現況となっているのであります。本市にありましては、今回の勧告受諾に伴う直接的影響は今のところないとされているのでありますが、農産物の輸入自由化は、いわば一つの時代の趨勢でもあり、本市農業にありましても、近い将来そうした影響をいやが上にも受けてくるであろうと思われるのであります。 そうしたことからいたしまして、対外的要因による影響を受けにくく、国内的にも自立できる強い農業を確立するための農業政策の推進は、農業従事者の多くを抱える地方自治体に課せられた責務ともなっており、それは本市にとりましても重要な施策の一つとなるのであります。市当局におきましては、既に本市農業のあり方について、昭和57年に新農業ビジョンを策定され、今回また都市の発展と調和のとれた生産性の高い農業の確立を目指し、新たな農業構想を策定するための予算を計上されているところでありますが、本市農業の現状を踏まえ、変貌する農業環境に的確に対応し、都市型農業としての本市農業の振興を図るため、市長はいかなる農業政策を今後展開していこうとなされているのか、所信のほどをお聞かせ願いたいのであります。 また、生産農家の経営拡大を図り、農業の振興を図る上におきまして、農産物の消費拡大にも我々は目を向けなければならないと存ずるのであります。近年、全国各地で一村一品運動が盛んに行われており、ややそのひそみに倣う嫌いなしとはしませんが、本市におきましても、米、蔬菜、果実、花卉等、すべてにわたって品質のよい、いわば「金沢ブランド」とも言うべき農産物の生産奨励を行うことも肝要かと思われるのであります。高品質でおいしく、そして競争力のある各種農産物の生産奨励とそのPRについて、市当局はあらゆる方途を駆使して一層積極的に取り組むべきと思うのでありますが、この点について、市長のこれに対する熱意と抱負のほどをあわせてお聞かせいただきたいと存ずるのであります。 質問の第4点は、雪対策についてであります。今冬の雪は例年に比べて3分の1から4分の1程度しかなく、我々雪国に住む者にとっては、雪のない生活がいかに暮らしやすく住みよいものか、改めて認識されたことと存じます。本市におきましては、このような雪のない都市を目指して、昭和43年から幹線道路や主要交差点などに地下水を利用した消雪装置を設置し、冬季間の交通確保や市民生活の安定を図ってきたわけであります。しかし、ここ数年来、地下水のくみ上げによる消融雪の普及で地下水の水位低下が新たな問題としてクローズアップされるようになり、その対応が迫られていたわけでありますが、本市においてはいち早くその涵養対策と河川水等を利用した消融雪の研究や試験実施に取り組まれ、限られた資源の保護は言うに及ばず、時代の流れを的確につかみ対処していく柔軟な姿勢をとられたことを高く評価いたしたいと思うのであります。 しかしながら、このような河川水などを活用した消融雪溝の設置や用水を利用した消融雪にも、水温などクリアしなければならないさまざまな問題点もあるようであり、これらを理想としながらも、地下水利用の消融雪に頼らざるを得ない本市の雪対策の現状に一抹の不安を覚えるものであります。そこで、お尋ねいたしたいのでありますが、これまでの河川水等利用の消融雪試験や実施の成果にあわせ、耐雪都市を目指す本市の消融雪がどのようにあるべきなのか、また、今後どのような方向づけがなされていくのか、これらの基本的な方針について土木部長にお尋ねしたいと思います。 質問の第5点は、産業廃棄物広域的処理についてであります。各位も御承知のとおり、ごみの問題につきましては、急速な経済発展による生活の向上、消費の増大等により、その量とともに質的な変化が各自治体の清掃行政に影響を及ぼし、さらに事業活動による産業廃棄物の問題が大きくのしかかってきております。特に産業廃棄物の適切な処理は、現代の生産活動に避けて通れない切実な課題であり、その処理対策や再資源化の技術確立など、きめの細かい施策の展開が今後ともますます重要となってくると思われるのであります。 現在、産業廃棄物の処理責任は排出事業者にあることとなってはおりますが、中小零細企業の多い本市並びに県内の各市町村にあっては、事業者みずからの適正処理は困難であり、その点で自己処理の原則を徹底することは難しく、都市環境の保全の責任を持つ各自治体が、産業廃棄物の対応を図らざるを得ない状況にあります。 このため、本市におきましても、本来一般廃棄物処理場として認可を受けている戸室新保埋立場において、市民生活より排出される一般廃棄物はもとより、条例で認める7種の産業廃棄物をあわせ処理する最終処分地として、相当の量の産業廃棄物が搬入されております。このような産業廃棄物の増大は、埋立場の使用年数を大幅に短縮するとともに、一般廃棄物の埋立場としての本来の機能を阻害するものであり、今後いかに処分地を大事に使うかが最重要課題となってきております。 確かに、本市におきましても、埋立場の延命化を図るべく、分別収集、リサイクル運動、さらには広域的な産業廃棄物交換情報制度づくりを進めるなど、ごみ量増加の抑制と資源の有効活用に努められておりますことは評価するところでありますが、これにもおのずと限界があり、根本的な解決法とはなり得ないと考えます。まして、これまで県内の各自治体が依存をしてまいりました民間の処分場の確保がますます困難となってきております今日、公共関与による産業廃棄物専用の処理施設の必要性は、一市町村の問題を超え、広域的な解決が課題となってきております。その点で、産業廃棄物の監督責任を負う県に対し、積極的に産業廃棄物埋立場の分散的設置を図られるようこれまで以上に強く働きかける必要があると考えますが、この点、市長は今後どのように対応なされるおつもりか、これまでの経緯にあわせ承りたいのであります。 質問の第6点は、国道157 号線の整備についてであります。本市都心軸は、土地の高度利用を図るべく、再開発事業や健全な市街地の形成を目的とした土地区画整理事業等により着々と整備が進んでおりますが、都心軸を形成する拠点を有機的につなぐ道路の整備こそ、本市生々発展のための不可欠な条件であることは、論をまたないところであります。市長におかれては、都心軸の形成は、21世紀の活力ある都市「金沢」を創造するためには欠くことのできない基本施策であるとされており、まさにこの都心軸を支えるべき道路整備が、本市の喫緊の課題と思うのであります。 とりわけ、本市商業の核である香林坊と武蔵ヶ辻を結ぶ国道157 号線においては、再開発事業等により一部は拡幅整備され、快適でゆとりのある空間として評価が得られているのでありますが、大部分は未整備のまま放置されている状況であり、特に歩道は、歩行者が交差もできないようなお粗末きわまりのないものであります。金沢を訪れた観光客からも、この区間の道路事情の悪さを指摘されており、本市のメーンストリート、交通の要所としては恥ずかしい限りであります。また、この道路の西側部分は、一部を残してビル新築等の際にセットバックしているのでありますが、ほとんどが駐車場として使用されていることを見ても、整備のおくれを示しているものであり、同時に街路整備の着手はそんなに困難な状況とも思われないのであります。 このような状況は、潤いのある都市景観にはほど遠く、あわせてこの駐車場への出入りのため、歩行者にとっては危険この上ないのであります。観光客に魅力を感じさせる町とは、歩いて心地よい町であり、市民の安全を守るという立場からも、歩ける町づくりを目指す本市としては、国に早急な整備を強く働きかけることはもちろんのこと、市が費用を一部負担することを検討してでも早期に実施すべきと思うのであります。このような積極的姿勢が、国に対して本市の熱意のあかしにもなると思うものでありますが、無電柱化計画ともあわせ市長の御所見を伺いたいのであります。 質問の第7点は、保育所問題についてであります。これまで、本市は、市民の保育需要に対応して、民間を中心とする保育所の整備を積極的に進めてきたところでありますが、最近の就学前児童数の減少によって、これら民間保育所に定員割れが生じ、その経営に苦慮しているのが現状であります。明年度予算にもそのための対策費が計上されておりますが、この際、民間保育所の経営安定のため抜本的な対策を確立する必要があると考えるものであります。市長はこの点どのようにお考えか、まずはお伺いしたいのであります。 次に、保育料についてでありますが、大幅な市費の持ち出しにより保育料を現行のまま据え置かれたことを改めて高く評価したいと思います。しかしながら、市費の持ち出しにも限界があると思うのでありますが、市長はどのようにお考えか、今後の対応ともあわせお答えをいただきたいのであります。 さて、近年の勤務形態の多様化に伴い、夜間における保育需要が増大していると聞き及ぶのであります。このため、本市では、夜間就労婦人とその児童の福祉増進を図ることを目的に、明年度、野町保育園において夜間保育所を開設するようでありますが、その内容はどのようなものか、具体的にお伺いいたしますとともに、今後この事業の拡大を図られる考えがあるのかどうかも、あわせてお尋ねしておきたいと思うのであります。 質問の最後は、消防行政についてであります。真夜中に走る消防車や救急車のサイレンを耳にするとき、市民の生命と財産を守るため、日夜を問わぬ勤務をされる消防職員の御苦労に対し、心から感謝をいたすものであります。 さて、本市における火災発生件数はここ数年減少を続け、昨年は96件と、昭和27年以来実に35年ぶりに100 件を下回る結果と相なりました。昭和40年代には200 件に近い発生を見ていた火災件数が、今日その半数までに減少したのは、消防行政に卓越した手腕を発揮される消防長を初めとする消防職員の火災予防に対する熱意と努力のたまものであると評価いたすものでありますが、具体的にはいかなる施策の成果であると分析しておられるのか、また、今後ともこの減少傾向を堅持していくにはいかなる施策の展開が必要であるとお考えになっているのか、お聞かせ願いたいのであります。 火災発生件数の減少傾向はまことに結構ではありますが、例えば昨年5月のマンションでのガス爆発火災や、記憶に新しいところでは、ことし1月の雑居ビルの火災など、耐火建築物火災が年々増加しております。このことは、時代の潮流でもあり、消防対策においても木造建築物火災から耐火建築物火災への対応と、一つの転換期を迎えつつあると思うのであります。近年、都市における建築物の高層化と深層化が進む一方では、生活水準の高度化に伴う危険物の増加が顕著になっております。 このような状況は、市民の生活様式の複雑多様化と相まって、日常生活のあらゆる分野に火災を初めとする各種災害の発生要因を潜在させ、市民生活の安全を脅かせております。都市生活における危険性がますます増大する今日、消防が都市防災のプランナーとして大きな役割を果たしていくことが期待されているのでありますが、耐火建築物火災の消防対策を含め、都市環境の変化を踏まえた将来にわたる消防体制について、識見豊かな消防長の御所見をお伺いいたしまして、私の代表質問を終わります。(拍手) ○議長(北市朗君) 江川市長。   〔市長江川昇君登壇〕 ◎市長(江川昇君) ただいまは42番末岡議員から新年度予算案につきまして評価を賜りまして、厚くお礼を申し上げます。私は、編成の柱は、将来を展望した活力のある都市づくり、いま1つは歴史にはぐくまれた本市固有の伝統文化の育成発展に置いたつもりでございます。この進路には、開発と保全の調和など大きな課題が待ち受けておるようでございます。 そこで、開発と保全の調和につきましては、金沢にふさわしい都市機能を高め、真に日本の心を奏でる都市づくりに励みたいと考えております。こういう気持ちで、私の夢と申しましょうか、それを描いたつもりでございます。そして、でき上がったのが予算でございまして、私は、この予算には全力を挙げて関係者は取り組んでいただいたというぐあいに考えております。どうぞそういう点を御理解の上に御審議をお願いしたいと存ずる次第でございます。 そこで、まず予算のうちの市税収入の見通しでございますが、法人市民税の見積もりについては、政府や民間調査機関などの経済の見通し、企業別の利益の予想、あるいはまた過去における実績、本市の特殊事情等を総合的に勘案いたしまして、前年度実績に比べまして業種別に手がたく積算をしたつもりでございます。その結果、対前年度比に比べまして26.8%、決算見込み額に対しまして5.5 %と伸びたのであります。その他の市税収入の見込みにつきましては、経済動向、過去の実績、さらには地方税制の改正というような点も考えまして計上したものであります。私は、これらの点から見て、予算に対する十分な確保はできるものだというぐあいに考えております。 公共料金についてでございますが、公共料金の改正に当たりましては、まず最初に合理化の方策を講じますとともに、市民生活への影響を十分に配慮いたしまして、慎重な上にも慎重を期したつもりでございます。明年度は特に保育料は据え置く、さらに国保料につきましては、料率を2カ年連続据え置き、賦課限度額の改定のみにとどめたというのが実情でございます。 その公共料金のうちに、ただ水道料金が値上げに相なっております。60年の4月に改定いたしました現在の料金では、このまま推移した場合に、64年度末では20億円余の経常損失が見込まれます。水道事業の健全経営が損なわれる結果と相なりまして、事務事業の改善、合理化を進めるなど経費の節減に努めるとともに、将来にわたって市民に清浄な水を安定して供給するというためには、料金改定をお諮りした次第でございます。 なお、県水の受水協定の見直しや受水単価の抑制等につきましては、県との協議を続け、水道財政への影響を軽減できるように努めてまいりたいと存じまして、引き続き県と協議を重ねてまいるつもりでございますので、御了承をお願いしたいと思います。 次に、駅周辺の整備にかける問題でございますが、特に公共投資についてでございます。予算編成の重点項目である「生き生きと活力のある都市づくり」の目玉事業が駅周辺整備でございます。駅周辺の整備は、市街地再開発事業、土地区画整理事業、街路事業など、さまざまな事業手法を用いて進められておるところでございます。これらの事業手法を有効に活用し、一体性を持たせながら、国、県と協力をいたしまして、21世紀を目指す国際的文化産業都市の顔づくりとして諸事業の推進に全力を注ぐ所存であります。私が今回の予算で最重要と考えたのも、こういう意味であると思っております。 下水道事業につきましては、御指摘のとおり、63年度公共下水道事業債の発行残高は、NTTの貸付金を除きまして、おおむね610 億円となっております。この償還が下水道財政の圧迫につながることにつきましては、私も非常にこれを憂慮しておるところでございます。引き続き償還期間の延長、良質起債への借りかえ、あるいはまた国庫補助金対象枠の拡大などを日本下水道協会を通じ、あるいはまた直接に国に働きかけてまいりたいと考えております。 次に、県民オーケストラの運営の問題でございます。オーケストラの設立については、文化都市を目指す本市にとって大変有意義であり、加えて本市の邦楽との共演、青少年の情操教育、市民の音楽文化の振興に大いに寄与するものと確信をいたしておりますが、設立出捐金を計上いたしましたのもそういう意味からでございます。御指摘の運営費の負担につきましては、相応の運営費補助を求められておりますが、4月に組織予定されます仮称の音楽文化振興事業団の設立準備委員会へ参画をいたしまして、本市の意向を十分に反映させていくが、財団としての企業努力を強く要望して、できるだけの負担を少なくするように努めていくつもりであります。 次に、事務事業の推進のための執行体制についてのお話でございます。御指摘のとおり、新年度は各施策に対応できる執行体制につきましては、これまで検討を重ねてまいりましたが、御指摘の点もございますので、さらに十分な検討を加えたいと思っております。 北陸新幹線についてであります。北陸新幹線につきましては、まさに正念場を迎えております。8月最優先の着工実現に向け、渾身の努力をいたす覚悟であります。優先着工の見通しについては、北陸新幹線が3線の中で最も採算性が高いと言われておりますことから、希望を持っておりますが、しかし、このことは決して楽観は許されない問題でございます。今後、中央に対しまして、沿線関係各位と、新たにつくられる中央での支援組織とともに、必要性、優位性を繰り返して訴えていくつもりでございます。 次に、農業の育成と振興の問題でございます。御指摘のとおり、我が国の農業は、生産構造の根幹を揺るがす難関が山積しておる現状であります。したがって、本市農業もこの渦中の中にあります。都市型農業としての競争力のある生産性の高い農家を育成することが、急務であると考えておるものであります。さしあたって、転作拡大による集団化を中心とした効率的営農推進体制の推進を図ってまいりたいと思います。長期的には、生産性の高い、粘り強い農業の確立を求めて、新農業構想の策定に着手してまいりたいというぐあいに考えております。 さらに、金沢式のブランド農産物の生産奨励でございますが、農産物全体が過剰基調にありまして、産地間の競争はまことに厳しいものがございます。しかしながら、本市農業の振興を図るためには、砂丘地、平坦地、山間地帯のそれぞれの適地適産についての生産性の高い収益栽培を推進していかなければならないと考えるものであります。今後は、有望な特産物の開発、育成に努力をするとともに、販売あるいはまたPRに当たっては、地名度の高い「金沢」の名称を十分に活用しながら、出荷団体と十分連絡をとりながら進めてまいる覚悟であります。 融雪事業につきましては、土木部長からお答えをいたします。 次に、産業廃棄物でございますが、御承知のように、一般の家庭の廃棄物につきましては、市が責任を持つことは、これは当然でございます。一方、産業の廃棄物につきましては、県では63年における県内各市町村及び業界代表で構成する懇談会を設置いたしまして、産業廃棄物の公共関与を含めた広域的行政のあり方について、調査、検討するということに相なっておるようであります。本市においても県と相提携し、この産業廃棄物の処理については十分な取り組みをしなけりゃならぬ、そのためには、この施設開設に乗りおくれをしないように十分に配慮していくつもりでございます。 国道157 号線の整備でございますが、本市の都心軸を構成する重要な路線であります国道157号線、その中の香林坊-武蔵ヶ辻の間の整備は、御指摘のように緊急性の高いものであることは、申し上げるまでもないところでございます。管理者である建設省、金沢工事事務所に対しても、かねてからその整備を要望しておるところでございまして、これにこたえ誠意ある検討を建設省は約束をしておるところでございます。百万石通りとして都市景観においても配慮をした整備と無電柱化計画の推進をあわせて行うことが必要であろうと思います。そのための超過負担分につきましては、協力は決して惜しまないつもりでありまして、ともかく早急な事業化を強力に働きかけてまいるつもりであります。 次に、保育所の問題でございますが、新年度は新たに定員割れに対処いたしまして、保母の雇用安定、そしてまた児童の途中での入所に備えるための補助金制度を創設いたしましたところでありますが、市が保育所運営の健全化に苦心をいたしておることをまず御理解をいただきたいと思います。 なお、保育所の定員割れは、最近地域的な格差が顕著になっておりまして、今後とも各園と十分な相談をしながら、地域の保育需要に見合った定員の適正化、より積極的な進め方をいたしてまいりたいと思っております。 保育料につきましては、御指摘の際限のない市費の持ち出しは、本市の財政規模、市民負担の公平性から考えて、当然ながら何らかの歯どめが必要であると私も考えております。保育料が応能的な負担金という性格から見て、やはり保護者に一定割合での負担をお願いすべきものと考えるので、今後の保育料は、過去の実績や、あるいはまた市民生活の状況、または国が示す徴収基準に占める保育料の割合等を考慮いたしまして、十分検討の上定めていきたいというぐあいに考えております。 次に、夜間保育所でございますが、野町夜間保育所は、本市の認可保育所では初めての試みでございます。定員は30名の規模で、本年7月1日から開設する予定であります。保育時間は、国の基準では午後2時から10時まででありますが、婦人の就労実態を勘案いたしまして、市民の要望があれば、深夜2時までの延長保育を予定しておるところでございます。夜間保育所の増設につきましては、今後、保育需要の推移というものを見ながら、その上で考えていきたいというぐあいに思っております。 以上で私に対する御質問のお答えを終わりますが、消防行政についてのお尋ねにつきましては、消防長からお答えをいたします。 ◎市長(江川昇君) 近藤土木部長。   〔土木部長近藤長明君登壇〕 ◎土木部長(近藤長明君) 雪対策、特に消融雪の基本的な方針につきましてお答えを申し上げます。 御指摘のとおり、消雪のための地下水利用は、地下水位低下という問題を提起をしてきております。幸い、本市は、水温、水量等河川水利用の環境にも恵まれておりますので、これまでいろいろの施設の試みを進めてまいったところであります。今後、これらの実験を踏まえまして、河川水利用による消融雪をより進めていく必要があると考えております。基本的には細街路を中心に消融雪板、側溝利用の水中ポンプの補助にあわせまして、技術的に可能な道路につきまして消融雪溝--融雪の溝でありますが、消融雪溝を設置していく方針であり、建設費の1割程度の地元の応分の負担をお願いしながら、当面、下水道の合流区域を優先して整備していく必要があると考えております。また、公共性の高い、おおむね5%以上の坂道につきましては、散水式方式でこの整備を進めていくことといたしたいと思います。 なお、地下水利用の散水式の消雪につきましては、バス路線等の幹線道路に限り検討していく考えであり、また町会設置の地下水利用の消雪補助につきましては、今後、漸減していく必要があると考えております。いずれにしましても、克雪都市を目指し、今後とも調査研究を進めていかなければならないと考えております。 以上でございます。 ○議長(北市朗君) 和田消防長。   〔消防長和田勇君登壇〕 ◎消防長(和田勇君) 末岡議員にお答えいたします。 近年の火災の減少はいかなる施策の成果によるものかという御質問でありますが、多くの施策の中で何が効果的であったかということは、複雑多岐にわたります火災原因から見ましても、軽々に論ずることはできないと思いますが、強いて申し上げますと、事業所等の業態別防火組織の結成を促進し、地道に職域防火の推進を図ってきたこと、婦人防火クラブ、少年消防クラブ等の育成に努めるとともに、地域の防火指導に力を入れてきたこと、予防査察の執行体制を強化して防火指導に努めてきたことなどが、法に基づく各種の規制や防火対策の推進と相乗的に働いて徐々に効果を上げてきたものと思われます。 次に、今後とも火災の減少傾向を維持していくためにはいかなる施策が必要かということでありますが、火災予防の成否は、1つには法令等で定められておりますハード、ソフト、両面の防火対策がいかに守られるか、2つには、市域内に在住される皆さんが、日常生活や社会活動の中でいかに防火に関心を持ち、これを実践されるか、これによって決まるものと思われますので、これらの実践が地域、職域に根強く定着するよう、今後とも現在の各種予防施策を粘り強く推進することが必要であり、特に民間防火組織の強化と活性化に意を用いるなど、常に市民とともにある施策を展開していかなければならないと考えております。 耐火建築物火災の消防対策を含め、都市環境の変化を踏まえた将来にわたる消防体制についてでありますが、従来から常備消防力の強化として進めてまいりました消防署所の適正配置、耐火建築物火災等の都市型災害に対応する機械装備の近代化・科学化等は、都市環境の変化の進展に対応しつつ今後とも積極的に推進する必要があり、同時に自然災害や大規模火災等、大量の消防力の導入を必要とする災害に対する消防団の役割を重視し、減少しつつある消防団員の確保を図る等、さらなる活性化を推進して、両者相携えた均衡ある消防体制で臨むことが、将来的にも必要ではなかろうかと思っているところであります。 ○議長(北市朗君) 36番平田誠一君。   〔36番平田誠一君登壇〕(拍手) ◆36番(平田誠一君) 私は、日本社会党市会議員団を代表して、財政問題を初め幾つかの項目について質問いたします。 第1点目は、地方財政計画と市予算の関連についてであります。63年度の地方財政政策、地方財政計画を見ますと、税収の自然増に支えられ、表向きは順調のように受け取られますが、その内容において多くの問題点を含んでいると言わなければなりません。地方財政富裕論がささやかれていますが、地方財政の実態は、借金構造それ自体が何ら改善されず、常に国の財政のつじつま合わせの道具にされている感があり、しかも財政の単年度主義が崩れ、地方交付税を含め年度間調整が恒常化して、地方交付税や地方債そのものが補助金化の傾向にあることは、大きな問題として指摘しておきたいのであります。 まず、その1は、地方財政における地方債、借入金の63年度末残高は66兆9,677 億円、62年度当初に対して約3兆2,000 億円の増であり、このうち交付税特別会計借入金の残高は5兆9,139 億円に上ることから見ても、地方財政の体質改善は遅々として進んでいないことは明らかであります。本市における地方債依存度は5%、公債費比率では類似都市の平均から見れば低い水準にあるものの、ここ2~3年後には上昇カーブに転ずることが予想されますが、財政運用に当たってはあくまでも慎重でなければなりませんが、所信のほどをお伺いいたします。 その2は、財政規模では、対前年当初比で地財計画を0.5 %上回る6.8 %の伸び率になっています。この伸び率を支えているものは、財テクブームによる業績好調と言われる金融、生命保険、証券各社による法人市民税であり、たばこ消費税の税率特例の延長、NTT株売却益の無利子貸付金を原資とした特定資金公共事業を初めとする対前年比53.6%増の市債であり、15%の伸びを見せている単独事業や利子割交付金であると言えます。56年度に次ぐ7年ぶりの積極的予算とは言ってはみても、内需拡大への経済政策の転換による緊急経済対策として実施された62年度の第1次、第2次補正予算を勘案して地財計画を見れば、わずか2.5 %の伸び率にしかならないのであります。投資的経費の水準をどうにか維持するのがやっとの地財計画であると言ってもよいと思います。このような角度から本市予算を見ますと、特に民生費と教育費の伸び率が低いことが気にかかるのでありますが、見解をお聞かせいただきたいと思います。 その3は、地方交付税は、62年度の最終配分額と比較すればわずか0.6 %の増であり、ほとんどふえていないばかりか、公共事業費の地方自治体の裏負担分や地方債の元利償還金など、国の施策の都合による地方負担経費を国庫補助金ではなく交付税で保障するばかりか、一般財源についても交付税の事業費保障で補償することにしたことは、地方単独事業の一部も本格的に特定財源化することであり、本来一般財源であるべき地方交付税制度が大きく変質してきていると言わなければなりませんが、このような方向に対する所信のほどをお伺いしたいと思います。 その4は、利子割交付金制度はマル優廃止に伴うものでありますが、住民税所得割減税分の財源にかわるものとしての性格を持っていることを指摘しておきたいのであります。初年度5億6,900 万円が計上されていますが、初年度の見込み額として適当であるのかどうか、いささか過大ではないかと思いますが、いかがでしょう。 しかも、この利子割交付金制度は、2年から3年後の平年度において住民税減税分を完全に取り戻してしまうことが想定されます。明らかに増税に転ずる制度であると考えますが、見解はいかがでしょうか。我が社会党は、このようなまやかしの減税ではなくして、真の不公平税制の是正、所得税の大幅減税を求めていることを改めて強調しておきたいと思います。 その5は、国庫補助負担率の引き下げに伴う影響額は、経常経費分11億3,500 万円、一般財源化分5,200 万円、投資的経費分12億円、合計23億8,800 万円となっています。58年度以来行われてきた国庫補助負担金の一般財源化、補助負担率の引き下げに加え、国の公共事業の地方単独事業への肩がわりが進められてきておりますが、61年度及び62年度の補填措置については、たばこ消費税率の特例や地方交付税への特例加算、建設地方債の増発によって措置されるとのことでありますが、このような国庫補助金カットは63年度をもって終わり、原状に回復するとの約束が政府と地方団体の間にあると伺っているのでありますが、この約束は守られるのかどうか、その見通しについてお伺いしたいと思います。 以上5点について、市長並びに関係部長の所見をお聞かせいただきたいと思います。 第2の質問は、国民健康保険制度の改革問題についてであります。このまま放置すれば、制度そのものが崩壊しかねないと言われる国保制度は、財政事情の悪化に加え危機的な状況に至っていますが、このような状態になった最大の原因は、国保制度の構造そのものに起因していることは明らかであります。構造的弱点と言われている加入者の所得が低い、保険料負担が限界に来ている、高齢者加入割合が高いなどが指摘され、58年には老人保健制度、59年には退職者医療制度が創設されたものの、医療費と保険料の地域格差が大きな問題になってきているのは御承知のとおりであります。 今回の国保改革では、低所得者層の保険料軽減分については、都道府県及び市町村の財政負担を導入して財政基盤安定制度を創設する、医療費の地域差調整是正のために地域医療費適正化プログラムをつくることの2つが中心になっていますが、以下の項目についてお尋ねいたします。 1、退職者医療制度の創設に伴う悪影響額の未補填分5億4,100 万円は、既に61年度決算において一般会計から一時的に補填処理されているのでありますが、今回国から補填されることによってどのように措置されるのか、お尋ねをいたします。 2、基礎安定対策費の3億4,900 万円は、地方交付税の総額に特例加算するということは、交付率を変更しないわけでありますから、まさにタコ足的な措置であると同時に、使途を限定することを条件に交付することを意味しています。このことは、自治体財政の基本に反する制度と考えますが、見解はいかがでしょうか。 3、特定の地域ごとの医療費水準の是正計画を都道府県並びに市町村が策定することになるのでありますが、具体的にはどのような作業になるのか、明らかにしていただきたいのであります。 第3の質問は、水道事業と財産処分の件についてであります。63年度から64年度までの2カ年間の財政計画を策定した結果、1、需要の伸びの鈍化により料金の増収に期待することができない、2、県水受水量の増加に伴う受水費の増加、3、ほぼ100 %普及率による維持管理費及び減価償却費等の増加などによって、64年度末では約20億円の経常損失が見込まれるとして、4月から1立方当たり平均16円29銭、13.03 %の水道料金の値上げが提案されています。この3つの理由を現在の水道事業と対比しますと、業務用、家庭用の販売量はともに頭打ちの状況にあり、配水量では63年の自己水67.7%、県水32.3%の比率が、70年には逆転をし、県水が55.8%、75年に至っては70.7%にも達するのであります。 一方、現在の必要給水量は日平均で17から18万トン、日最大で22万から23万トンであるのに対して、犀川ダム10万5,000 トン、内川ダム10万トン、県水受水については、65年は9万8,000 トン、75年には19万5,000 トンというように、既に需要と供給のバランスは大きく崩れているのが現状であります。このような状態が安易に進行するならば、県水の負担は市浄水場の縮小ばかりではなくして、水道事業そのものの放棄につながるのではないかと心配するのであります。 しかも、2年ごとに単純に料金見直しを行えば、水道使用量の減少となり、事業経営悪化の悪循環に陥ることは必至と思いますが、水道事業の将来展望とあわせ県水計画年度の変更や工業用地下水の業務用転換のための具体策、資本的支出の再検討、料金体系の研究など、市民に対して説得力のある財政対策中期プランを作成して提示すべきではないかと考えますが、御見解を示していただきたいと思います。 また、昭和62年度最終補正予算で、石引別館跡地、平地で6,400 平米、がけ地1,670 平米、実測合計で8,070 平米の売却益と固定資産売却収入として14億7,000 万円が計上されています。これまで議会の中で指摘してきた経緯もありますが、地方公共団体が締結する売買等の私法上の契約については、当然契約自由の原則が適用されることは言うまでもありませんが、54年10月の旧金沢女子短大敷地・建物の売買のときには、公示価格1平米10万2,000 円のところを実際の買収価格は22万3,000 円で行われたという取引実例もあり、もう9年近く経過している今日、それ相当の納得のいく売買価格であることを期待をしながら注目しているのでありますが、どのように対応されるのか、お伺いいたします。 質問の第4は、工場立地と旧東部丘陵地開発計画についてであります。61年以降の急激な円高の進行のもとで、製造業や輸出関連業種を中心に雇用調整が進むとともに、内需主導型に変革するための産業構造の調整によって、第2次産業から他産業への流出となってあらわれ、特に第3次産業では8%増加し、市内従事者数の70%を超えるまでになったと言われています。今日、このように産業構造の変化や高齢化社会への進行、雇用の多様化、さらには企業流出の原因の究明とフォロー、工場立地のための都市基盤の整備などについて総合的な分野から検討の上で、工場立地や工業用地の適地調査に当たるべきではないかと考えるのであります。このことは、「2.5 産業」と言われる企業を含めてバランスのとれた多様な産業の誘致であり、将来を展望した金沢の都市機能と性格を決める上でも大変重要なことだろうと思います。これまでややもしますと、産業、都市、雇用問題の中で軽く見られていたのではないかと考えますが、いかがでしょうか。 また、工場立地および中小企業構造の高度化の促進に関する条例では、工場立地の促進、中小企業構造の高度化推進、工場立地の基盤の開発、整備、環境の保全を行い、雇用の確保と産業の振興に資するために、企業立地等促進委員会を設置することになっていますが、本年度の工場立地の実情調査と工業用地の適地調査では、この委員会の設置を考えているのかどうか、お聞かせいただきたいと思います。 次に、東部丘陵地の問題であります。「丘陵地における開発は、北部の開発の立ちおくれを挽回したいという目的と、初めての構想でもあり、御意見を参考にして今後十分誤りのないようにしていきたい」、これは昨年12月議会における市長答弁であります。62年度最終補正予算の説明では、地形、採算性など検討してきた結果、工業用地としては不適当と判断して中止するとのことであります。計画面積73.2ヘクタール、総事業費136 億764 万円という大型プロジェクトであり、既に61年度では基本設計と土質調査費として3,776 万円、取りつけ道路概略設計及び地籍図作成費に594 万円、62年度で地権者用地所有状況調査費として348 万円の合計4,719 万円を投入している、いわゆる重要施策の一つであったことは言うまでもないと思います。 中止の理由として挙げられている地形と採算性については、61年5月段階において開発基本計画を策定する時点で既に掌握されている初歩的で基本的なことではないだろうかと思いますが、時には勇断を持って中止や撤退することも政治戦略の一つでありますから、やむを得ないにしても、これだけ重要な政策や事業がわずか3カ月の間に方向転換をしたことと、中止決定までの手続に問題があることを指摘しておきたいのであります。特に、この開発計画と予算について、議決をした議会に対して公式に何らの報告もなかったことは、大変遺憾なことであると言わなければなりません。中止したことによって解決したわけではないと思います。重要な基本政策を中止し変更したことや、北部開発のおくれをどのようにするのか、地域住民や地権者に対する対処など、幾つかの問題をクリアしなければならないと思いますが、所信のほどをお伺いしたいのであります。 質問の第5は、下水道事業の財政政策についてであります。生活と都市環境の整備向上と水質保全、公害の防止、市街地における治水対策などを図るために進められている下水道事業は、190 ヘクタールをベースに第5期事業も順調に進捗していることは、歓迎すべきことだと思います。しかし、事業面からだけではなく、財政的な側面からもとらえて万全な対策を考えておかないと、起債とその利子の増大によって、市全体の財政を圧迫して重大な局面を迎えることは明らかであり、下水道の料金問題が大きな社会問題になることは必至であると思います。 62年度末の起債残高は565 億円、第5期事業では臨海・流域処理場の1系列稼働や管渠の面整備を続けますと、5期事業完了時点での起債残高は約960 億円が見込まれています。30億円の使用料収入で1,000 億円の負債を抱えるわけですから、重大な事態と言わなければなりません。起債利子の借りかえ、補助率の改定などの努力は当然としても、究極は市税か使用料になると思いますが、事業の拡大と起債の増加という相反する側面を持つこの事業の対応について、どのような見解を持って対処されるのか、お尋ねいたします。 質問の第6は、駅前第2地区再開発事業と駅西土地区画整理事業に関連してお伺いいたします。65年3月の完成予定で施行される駅前第2地区再開発事業に対する市有地の関与部分は、約5,600 平米、評価額で32億6,700 万円であり、約360 台収容の駐車場としての権利変換価格は25億4,200 万円、91条補償金として7億2,500 万円であるとのことであります。そこでお尋ねしたいのは、地下1階、地上19階のビル自体の駐車場附置義務分はどのようになるのか、また、360 台収容の駐車場は、あくまでも市民の公共駐車場としての性格を持つと思いますが、見解はいかがでしょうか。 次に、土地開発公社所有の東地区・西地区の残地2万3,500 平米と島田町地区整備調査との関連はどのようになるのか、さらに折違町地内の事業手法と整備調査はどのように対応されるのか、あわせてお答えをいただきたいと思います。 2点目は、駅西土地区画整理事業の第3工区、いわゆる醒ヶ井A地区の3.5 ヘクタールについては、施行区域の都市計画決定が昭和44年5月、地元に対して具体的にアンケート調査を実施したのは56年12月、以来何回かの地元説明会や工区連絡協議会において努力が続けられ、現在も住民合意の努力が続けられているのでありますが、63年度予算で用地の先行取得など、いよいよ事業化に向けて始動しました。しかし、問題なのは西醒ヶ井、長田町、長田本町のB地区2.6 ヘクタールについてであります。現状のまま手をつけずに放置するのか、あるいは事業施行をするとすれば、いつの時期にどのような手法で行おうとするのか、明らかにしていただきたいのであります。 特に住民の生活設計や交通安全対策上の問題、さらに駅西地区における都市機能の観点から対応を急ぐ必要があります。A地区ではアンケート調査から6年余りかかっていることを考えますと、市の姿勢いかんでは、B地区の住民感情はなお一層複雑になっていくことは確実であることをこの際申し上げておきます。しかも、地元各町会に対して事業調査概要を説明したのは57年8月、同年10月から58年3月にかけて現況測量等の調査を終了して、その結果に対する説明会が開かれたのは59年5月であります。それから4年間、内部で慎重の上慎重を期して検討されているのでありましょうが、この間地元に対して何の連絡も接触もないということは、強い行政不信を招くこと必至であることを申し上げ、市長から決意のほどをお聞かせいただきたいと思います。 質問の第7は、情報公開の制度化と公文書館の設置についてお尋ねいたします。情報公開制度は、既に都道府県では25団体、市区町村では88団体が制度を実施していますが、本市においても61年度から情報公開制度研究会を発足させ、制度化に向けての問題、調査の研究を開始し、さらに情報公開懇話会を設置してその答申を踏まえて、64年度に法制面の確立と公開システムの確立、市民への周知等の準備に入り、65年度から制度を実施するとのことであります。現在はまだ調査研究の段階でありますから、お尋ねしておきたいと思いますが、1、公文書閲覧の項に謄写することができるようになるのかどうか、2、所持し保管している文書の定義の中に、図画、写真、マイクロフィルム、録音テープなど保有するすべての情報を含んでいるのかどうか、3、文書は原則的公開でありますが、例外的に非公開とする情報があったとしても、一定年数経過後には公開とするなどの点について、調査研究の範疇に入っているのかどうか、お聞かせいただきたいと思います。 また、昨年12月に公文書館法が公布されましたが、歴史資料として重要な公文書等の保存及び利用に関し、適切な措置を講ずるための責務を有するとし、公文書館の設置を促していますが、情報公開制度の実施が現在のペースで65年でありますから、この時期と関連して設置を検討していくべきではないかと考えますが、御見解を伺いたいと思います。 質問の最後は、地区公民館の運営委託料についてであります。地域における社会教育の拠点として、住民の生活・文化・教養の向上、健康の増進、生涯にわたる学習、社会福祉の増進など多岐にわたる大きな目標に向かって、地域の連帯と課題の解決に努力している地区公民館に対する運営委託料について、改定すべきではないかと考えます。 特に62年4月1日から施行された公民館主事の給与基準の改正と補助事務員の賃金改正により、各公民館の人件費部分の地元負担が増大することによって、公民館事業の推進にも支障が出てきたと言われています。地域との関係が非常に深く、地域の実情に応じた運営、活動を行っている地区公民館のより健全な発展を期するためにも、さらに主事や補助事務員の身分保障と長期にわたる安定雇用の実現を図るためにも、人件費の市負担率を現行の75%から85ないし90%に引き上げるべきではないかと思いますが、市長の所信のほどをお聞かせ願いたいのであります。 以上をもって、私の質問を終わります。(拍手) ○議長(北市朗君) 江川市長。   〔市長江川昇君登壇〕 ◎市長(江川昇君) 36番平田議員の御質問にお答えをいたします。 まず、地方財政計画と市予算の関係でございますが、私は、財政運営の要諦は、将来に過大なツケを残さないようにするということだと考えております。内需振興に伴う公共事業の拡大や、66年度の国体の施設整備のある程度の増加は避けられない情勢にあるので、幾つかの基金の積み増しのほか、減債基金の創設などの措置を講じたところでございます。 そこで、地方財政計画の本年度当初との比較の問題等につきましては、財務部長からお答えをいたしますが、地方交付税の問題につきましては、国は厳しい財政事情の中で、地方の財源不足を地方交付税の増額や起債などで補っておるところでございます。これは、それなりに評価をしなきゃならぬ問題ではなかろうかと思いますが、近年、地方交付税の算定上、公共事業に係る裏負担、そしてこれに伴う起債償還費等の比重が高くなっておるということも、これは事実でございます。地方交付税が地方財源の保障という見地から、税財源の配分見直しを含めて、より充実を要望してまいらなきゃならぬということを私は考えておるわけでございます。 利子割交付金の問題でございますけれども、今回計上した予算額は、地方財政計画の数値をもとに、日銀金沢支店、北陸財務局の資料を参考としたものでございますが、金融類似商品は不透明なところがあるものの、おおむね妥当なものであると私は判断しておるのであります。国は5年後に平年度化すると推測しておりまして、その時点で増減税同額を見込んでおるわけであります。今後の経済情勢の動向によりまして左右されることも事実でございますが、本時点では増税と判断することはいかがなものであろうと思います。 国の補助率カットの問題でございますが、去る2月18日の国会で、自治大臣は「補助率カットはあくまでも暫定措置であり、安易な継続を認めるべきでない」と答えております。私は、これに大きな期待を寄せておるものでありますが、ともあれ、このような暫定措置の存廃に重大な関心を持ち、国と地方との税財源の配分と事務の分配があるべき姿に確立されるように、全国市長会等を通じて強く訴えてまいりたいと存じております。 国民健康保険の制度の問題でございますが、まずこの問題は構造的な改革が必要であるというお話でございますが、私も同様でありますが、そういうことからいたしまして、今、中央でも検討を加えておるようでございます。 そこで、この61年度におけるところの退職者医療制度の影響額に対する繰入金の措置でございますが、退職者医療制度の創設に伴う影響額、59年、60年--両年度分については、現実的対応として一般会計から繰り入れたものであります。国の補填をまって一般会計へ返還すべきものでありますけれども、62年度における保険料抑制の財源としておりまして、これは引き続きそういう点を御了を承願いたいと思うわけでございます。 保険基盤の安定制度でございますが、この制度は、県と市の負担を導入することによりまして、国保加入者の負担の軽減を図ろうとするものであります。国保会計にとって、財政緩和が見られることは事実であります。しかし、同時に国庫負担の引き下げが行われていることは御指摘のとおりでありまして、今後とも、理由のない国庫負担の引き下げに対しましては、地方団体として強く反対していくというつもりであります。 高医療費の市町村の運営健全化計画についてでありますが、御指摘の制度は、医療費の高い地域における医療費適正化のため、要因分析や是正計画を策定するものと聞いておりますが、現在のところ詳細については不明であります。国及び県の指示をまって対応いたしたいというぐあいに考えております。 水道料の問題につきましては、企業管理者からお答えをいたします。 次に、工場立地と東部丘陵地の開発の問題でございます。まず、経済のサービス化における立地施策の認識についてでありますけれども、政府においてはこれからの社会運営としてソフトノミックスを提唱しておりまして、このことは、生活関心の多元化に対応しまして、大量生産時代から多品種・少量生産、そして科学技術開発時代を示唆するものであると思います。既に成熟化しつつある全国的傾向よりも、ソフト化、サービス化が進んでおる本市において、施策執行は常に先取りでなくてはならないと考えております。工業立地施策においても、製造業に固執するものではなくて、情報サービス産業を初め企業の多角化戦略に対応しまして、できるだけ柔軟な運営を図っておりまして、今後ますます多様化する企業行動に沿って対応していく所存であります。 そこで、条例に基づく企業立地等促進委員会の設置でございますが、御指摘の委員会設置については、長期的展望に立った本市産業施策について、業界、識者等による審議の場として設けられたものでありますけれども、いまだに組織化ができておりません。今後は、事業の進展に応じまして、必要なときには委員会を発足させまして、十分審議を尽くしていくつもりであります。 次に、東部丘陵地の開発についてでありますが、地域経済の活性化を願い、長期展望のもとに、今日的企業ニーズに即した工業用地の確保を目的とした開発計画ではありましたが、提案の際申し上げたとおり、工業用地としては断念せざるを得ないという決意をいたしました。中止の判断までに至る手続等につきましては、十分でなかったことを私はおわびをして、御理解を求めたいと思うわけでございます。また、並み並みならぬ御協力をいただいた地元地権者の方々の熱意を酌み、新たな事業の検討を、さらには新たな用地確保にできるだけ早く取り組みたく、最大限の努力を払う覚悟でありますので、御理解と御支援をお願いいたしたいと思います。 下水道の債務をどうするかという問題でございますが、企業債の残高が著しく増高いたしまして、下水道財政は厳しい状況にありますけれども、可能な限り重荷を少なくする施策を引き続き国に要望していくつもりであります。今後とも、未整備地区の解消を目指しながら効率的な投資は続けていくけれども、健全で適正な下水道財政堅持のために、従来ベースの事業規模は近い将来見直しが必要であろうと、そういうぐあいに私どもは考えております。 駅前の再開発に関しての問題であります。交通の結節点である金沢駅の周辺には、将来にわたって公共駐車場が必要であると考えております。今回、駅前第2地区市街地再開発事業の施行に伴い、同事業施行区域内に存する市有地を駐車場として権利変換を受けようとするものであります。したがって、この駐車場は、公共駐車場として一般市民の利用に供すべきものと考えて、そういう準備を進めております。 さらに、駅前第2地区の再開発ビルにつきましては、ホテル棟、業務棟及び駐車場棟の3つの機能を持った複合ビルとして建設するものでございます。このビルに設置する駐車場は約500 台を予定しておりまして、そのうち本市が公共駐車場として権利変換を受ける360 台を除いた残り約140 台は、ホテル及び業務棟の地下に両側の専用駐車場として設置するものであります。これは、両棟の附置義務台数に相当するものであろうと思って計算をしております。 また、駅西土地区画整理事業等によりまして、道路等に基盤整備が進められつつあり、これらの進捗とあわせながら、また新年度から国の補助対象事業として調査をいたします新都市拠点整備計画等による駅周辺の全体計画を頭に描きながら、その利用を考えていきたいと思っております。 このうち駅前第2地区と現在線との間にある市有地については、隣接いたします国鉄清算事業団所有地を含めた基盤整備がまず必要であろうと考えております。現在、同事業団とその整備方法について協議をしておる段階であります。これらに基づきまして、新年度は具体的な調査を実施してまいりたいと思っております。 さらに、昭和町地区の開発計画でございますが、当該地区は、都市計画道路金石街道線、鳴和-三日市線の関係があります。その整備が強く望まれておるところでありますが、現在、周辺で進められておる鉄道高架事業や土地区画整理事業との進捗と整合を図りながら、今後具体的整備手法を検討してまいりたいと思っております。 醒ヶ井町ブロックの対応でございますが、特にBブロックをどうするのかという御質問でございました。醒ヶ井町のB地区については、過去のいろいろな経緯もありまして今日に至っておりますが、必要な面整備を図らなければならないことは事実でございます。今後、まず都市計画決定をしているA地区の事業化を図りながら、当該B地区の地権者の意向を十分に見きわめて、最善の整備手法を検討していく考えであります。 次に、情報公開の問題でございます。昭和65年の実施を目途に、現在、部内の情報公開制度研究会の中で準備を進めておるわけでございます。お尋ねの点につきましては、この中で検討しておるのでございますが、新年度には市民の代表、あるいはまた学識経験者等で構成する懇話会を設置いたしまして、広く御意見を伺いたいと思っております。 その中で、細部の幾つかの点についてお尋ねがございましたが、それらの点につきましては、今後の重要な検討課題でございますが、事が進むに従って御説明ができるかと思います。 公文書館につきましては、今後の問題として検討をいたしたいと思っております。 公民館の運営の助成問題でございますけれども、公民館は、市の委託を受けて、各館が自主的な運営を行っておることは御承知のとおりでございます。62年度は公民館職員の給与基準改善を行ったところでありまして、63年度は施設整備について補助枠の改善を図ったものであります。御指摘、御要望の点につきましては、今後とも我々は研究はしていくつもりでありますが、何分にも地元の自主性を尊重することが必要でございます。この自主性を尊重しながら、遺憾のないようにいたしていきたいというぐあいに考えております。
    ○議長(北市朗君) 柴田財務部長。   〔財務部長柴田豊君登壇〕 ◎財務部長(柴田豊君) 市長答弁を補足させていただきます。 国の62年度の第1次、第2次補正との比較で、本市の63年度予算の民生費や教育費の伸びが低いのではないかという御質問でございました。本市一般会計の62年度の内需拡大に伴います補正を含めた予算、すなわち8月の臨時市議会後の予算総額と63年度当初予算総額とを比較いたしますと、4.2 %の増となってございます。同様な比較をいたしますと、民生費では4.5 %の増、教育費では5.5 %増となっておりまして、いずれも一般会計の総額の伸びを上回っております。予算案の内容では、福祉にあっては特に保育や障害者施策などの拡充に努めましたほか、教育文化につきましても、市立工業高校の情報教育などの教育内容や、文化施設の面でかなりの充実を期した次第でございます。御理解願いたいと思います。 ○議長(北市朗君) 渡辺公営企業管理者。   〔公営企業管理者渡辺次男君登壇〕 ◎公営企業管理者(渡辺次男君) 平田議員の水道料金の改定に関連をいたしましての水道事業の将来展望と料金体系などにつきましてのお尋ねにお答えをいたしたいと思います。 節水意識の定着、あるいは大口需要家の地下水への切りかえ等による水需要の停滞、県水受水量並びに受水費の増高、維持管理費の増大等水道事業をめぐります環境は、今後ますます厳しくなるものと思われます。本市は、既に水道財政への影響が極めて大きい県水受水につきまして、県に対して下方修正を意図した受水量の見直し等を申し入れて折衝を進めているところでございます。また、これに伴う第5次拡張事業の再検討も進め、既設施設との有機的な運用を図りながら、投資効率を高めていくことにいたしておるわけでございます。 料金につきましても、逓増制料金の緩和を図り、需要の喚起を促してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。 企業局といたしましては、ライフラインの確保を目指しました水道事業の基本構想を策定をいたしまして、事業運営の指針といたしておるところでございますが、これにつきましても再点検を加えるとともに、御指摘の御趣旨を体しまして、資本的支出の検討、あるいはまた県水受水費と自己水との位置づけ、料金体系等々につきまして検討を加えまして、これからの水道経営のあり方あるいは方向を見定めてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。 第2の企業局の石引別館跡地の売却に当たりましては、県・市で合わせまして5社による土地鑑定士の鑑定結果をもとにいたしまして、本市の市有財産審議会にもお諮りをいたしまして、適正妥当な価格によりまして、本年度末日までに県と売買契約を締結いたしまして処分する考えでございます。御了承いただきたいと思います。休憩 ○議長(北市朗君) この際、暫時休憩いたします。午後0時0分 休憩午後1時3分 再開 △再開 ○議長(北市朗君) 出席議員数はただいまのところ39名であります。 これより、休憩前に引き続き会議を開きます。 △質疑・一般質問(続き) ○議長(北市朗君) 休憩前の議事を継続して、質疑並びに一般質問を続行いたします。 8番森尾嘉昭君。   〔8番森尾嘉昭君登壇〕(拍手) ◆8番(森尾嘉昭君) 私は、日本共産党市議団を代表いたしまして、市長並びに関係者に質問いたします。 質問の第1は、新大型間接税についてであります。中曽根前首相があれほど執念を燃やした売上税は、日本列島を揺るがす国民の反対の声と運動によってストップし、国民の歴史的な勝利となりました。そして、今回、砂利船汚職を引き起こした公明党田代前議員の辞職に伴って行われた大阪参議院地方区補選の結果、我が党の吉井候補が自民・社会党の候補を破って勝利したことは、新大型間接税導入を当面の最大の使命とする竹下内閣に痛撃となりました。 また、今回の選挙の結果は、直間比率見直しをうたった衆議院議長の斡旋を受け入れ、我が党を排除し、税制協議会を開いて国会運営を進めたり、浜田前予算委員長が10万円の商品券を我が党以外の各党の予算委員会理事に配る--この総額は100 万円に上ると言われています。--などの自民党と我が党以外の野党のなれ合い政治に対する厳しい審判であります。我が党は、竹下首相もはっきりと大型間接税反対を言明したように、明らかに政府・自民党の公約違反である新大型間接税に断固反対し、国民とともに一層奮闘する決意であります。 さて、今回の自・社・公・民4党合意は、新型間接税は導入しないなどは全く触れておらず、減税要求を逆手に、新大型間接税導入に道を開く新たな密室協議の場をつくったもので、断じて認められません。しかも、来年度政府予算案の無修正通過に合意するという全く許せないものであります。今回の新大型間接税の導入、すなわち直間比率見直しというのは、現在の直接税と間接税の比率7対3を見直すことであり、これを6対4にすれば6兆円の増税となり、安倍自民党幹事長の言う5対5にすれば、何と10兆円にも上る大増税であります。仮に3兆円前後で出発しても、4人家族で年間10万円に上る大増税であり、一度導入されれば、後は税率をどんどん上げていくということは必至であります。 このように、大型間接税は、国民の一生を通じて所得がなくても搾り取る天下の悪税であり、収入に応じた累進課税という憲法の原則に反するものであります。しかも、この大増税が決して高齢化社会のためでなく、今や年間3兆7,003 億円に達し、世界第3位という軍事費を賄うためにあるわけですから、絶対に許すわけにはいきません。市長は、こうした大型間接税の導入について、市民生活を守るというならば断固反対すべきであります。その明快な所信を伺いたいと思います。 質問の第2に、臨調行革と本市の行政改革についてであります。増税なき財政再建を掲げた臨調路線は、今や財政再建なき大増税であったことは明らかです。そして、この臨調行革を掲げ戦後政治の総決算を断行した中曽根内閣の5年間、それを引き継いだ竹下内閣の新年度予算は、私たち国民と地方自治体に一体何をもたらしたのでしょうか。この間、毎年軍事費はふえ続け、世界第3位の軍事大国にのし上がりました。そして、海外協力費、大企業向け補助金、助成金、さらに大企業向けの公共事業などがふえ、その一方で、社会保障、教育、農林漁業、中小企業など、国民生活関連予算は削減されてきました。また、この間、老人医療費、年金、健保、国保など、相次ぐ社会保障制度の改悪が行われるとともに、地方財政についても国が当然負担すべきものを削減し、地方に負担転嫁を強行してきました。 本市予算において、補助金削減による影響額は、来年度予算で24億円、60年度からは4年間に80億円にも達しました。我が党は、こうした政府・自民党の進める臨調行革に対して、毅然と反対していかなければ、地方自治も、そして住民の暮らしは守れないことを指摘してきました。市長は、これに対していまだに「行革は今をおいてはない」と考え、国や県の進める臨調行革に対してやむを得ないものとして判断されるのか、明快な所信を伺いたいと思います。 具体的に、第1に、60年度から国の補助金削減が強行され、61年度には1年限りという約束を破って向こう3カ年、63年度まで継続拡大しました。この補助金削減について、国にその撤回を断固として求める必要があります。市長のこの点での決意を伺うものであります。 第2に、国民健康保険についてであります。現在国会で審議されている国保改革案は、保険基盤安定制度、地域医療費適正化プログラム、高額医療費共同事業から成り、結局、国保財政への国の負担を削減し、新たに都道府県、市町村に負担転嫁することを制度化しようとするものです。しかも、65年度から実施予定している地域医療費適正化プログラムは、基準医療費を設け、国保医療費の高い自治体にその費用を負担させるなど、財政的ペナルティーを通じて医療に差別を持ち込むもので、医療の荒廃を招くものであります。 我が党は、このような国保の改正案に断固反対であり、要は従来の国の負担すべき国庫負担をもとの45%に戻すことが必要だと考えるものであります。市長は、いまだ国会で法案が成立していない段階で、法案に基づく保険基盤安定負担金3億4,900 万円などを予算計上することは許されません。しかも、最高限度額まで年間39万円を40万円に引き上げようとしています。一体市長は、国の責任を後退させ、自治体の負担をふやすなどを盛り込んだ今回の国保の改正に賛成なのですか、明快な答弁を伺うものです。 また、退職者医療制度による影響額が、我が党を初め全国の自治体等の要求でその補填がされることになりました。しかし、その額は全額ではありません。本市の影響額は、59年、60年度で5億4,000 万円、これは一般会計で既に補填し、61年、62年度で6億5,700 万円が財政調整金として棚上げされています。仮に今回国から補填される4億をもってこの財政調整金に充てたとしても、さきの5億4,000 万円は補填しないままになっています。この点で引き続き国にその財源補填を求めるとともに、国保料を値下げすべきではありませんか、市長の見解を伺いたいと思います。 なお、国からの4億円の財政補正がありながら、62年度の最終補正をしなかったのはいかなる理由なのか、明らかにしていただきたいと思います。 さて、市長は「行革に終着駅はない」として、61年市行革大綱を定め、この間の実績を総額幾ら、市民1人当たり幾らという数字を挙げて示し、そして新たな段階を迎え思い切った行革をと追求されています。しかし、教育や福祉は後退させないとする市長の言明とは大きな矛盾を生み、住民のサービス、教育、福祉を後退させるという結果となっています。具体的に伺いたいと思います。 その第1は、ごみ収集の各戸収集の廃止を打ち出したことであります。現在、普通ごみの収集が週2回実施されていますが、そのうち週1回、各戸収集が市内中心部の23校下の世帯数の42%、約2万7,700 戸を対象に実施されています。これを廃止し、ことし10月よりすべてステーション方式に切りかえるとの方針であります。ところで、市長は、市民はこの各戸収集の廃止を望んでいると考えておられるのですか。私どもは、このことは市民が望んでいないと考えています。そもそも市内中心部のごみ収集は、各戸収集から始まったものであり、現在、市内中心部での高齢化の進行とともに、お年寄りの家庭などで大変喜ばれています。市当局もこの方式を本市の特徴だと誇ってきたではありませんか。また、市内中心部は坂道や狭い道路などごみのステーションを設置することさえ難しく、その上、衛生管理上多くの苦情や問題を抱えています。この点では、市長もさきの12月議会でこうした現状を述べておられます。だとするなら、衛生管理上すぐれた方式である各戸収集を廃止することは、現状のごみをめぐっての苦情をさらに悪化させることを進んでやろうとするわけであります。市長、明らかに市民サービスを低下させ、ごみ収集上の衛生管理を悪化させる各戸収集の廃止が、あなたの言う行革なのですか。市長の明快な答弁をお願いいたします。 ごみ収集をめぐっての苦情や問題点への対策をどうするのか、ごみの総量が今後どう推移していくのか、ごみ埋立場の管理や場所の対策、分別収集などの今後の計画と住民の協力をどう求めていくのかなど、本市のごみ処理基本計画を住民の参加のもとつくることが必要であり、それが先決だと考えるものです。市長の見解を伺うものであります。 第2に、福祉行政についてであります。本市の「21世紀ビジョン」の中で、今後の福祉について福祉産業の登場をうたい、さらに行革大綱の中で福祉サービスの民間委託化を打ち出しています。また、69歳医療費助成制度を県の方針に屈服して、現物給付を償還払い方式に切りかえました。その結果、受診抑制をも引き起こし、助成金は61年度に比べて6,300 万円の削減となったわけであります。これも市長の言う行革なのですか。公的福祉サービスの充実こそ、本来行政が責任を持つべき福祉のあり方ではありませんか。また、国や県が改悪したとしても、その負担を住民に転嫁せず守ることこそ、地方自治体の役割ではありませんか。市長の公的福祉サービスの充実、69歳医療費助成制度の現物給付への復活について、その見解を伺いたいと思います。 質問の第3に、来年度の予算についてであります。来年度一般会計における歳入は、地方財政計画の対前年度比率6.3 %の増加を上回り、6.8 %の増加、金額にして64億円の増加となったわけです。この来年度一般会計の増加を可能にした一つは、市税収入の中でも法人税、事業所税合わせて26億円近くに上る税収の増加であります。しかし、これは大手企業や金融機関の財テクと土地投機、異常円高による差益のひとり占めなどによるもので、いわばあぶく銭であり、長続きするはずがありません。その上、この財源を、土木費の対前年度比19.3%の増加、金額にして35億円の増加など、主に土木事業、再開発事業に使われるのですから、市民生活関連予算への圧迫と、将来に借金の増大を招くことが予想されるわけです。 これを裏づける点として、歳入における市債が総額50億円と、前年度に比べ、率にして53.6%、金額にして17億円もの増加となったわけであります。そして、市の借金である起債は、63年度末には総額1,765 億円となり、市民1人当たり40万5,000 円になります。市長は、こうした税収の増加が長続きするものと考えておるのか、また土木・都市開発関連事業に伴う市債の増加が、結果として後々市民の負担としてはね返ってくるのではないのか、伺いたいと思います。 この点で、今回減債基金として1億円が計上されましたが、これは市当局の危機感のあらわれとも言えます。財務部長は、今後の財政運営についてその見通しをどう考えているのか、見解を明らかにしていただきたいと思います。 第2に、市長が「公共料金に特段の配慮をし、絶えず念頭に置いた」とする市民の生活は、負担の軽減となるでしょうか。市民の負担は、固定資産税の前年度比5.7 %の増加、金額で9億1,500 万円、マル優の廃止によって、市民1人当たり年間1万3,000 円の増加、使用料、手数料の1億7,000 万円の増加、水道料金の平均13.03 %の引き上げによる8億7,000 万円の増加、一方、市民税の3億円の減額、ガス料金の引き下げによる7億8,000 万円の減額を差し引いても、市民の負担は64億円の増加となります。これは、市民1人当たり1万5,000 円の負担となります。市長は、この点をどのように受けとめておられるのか、伺いたいと思います。 質問の第4は、都心軸中心の開発についてであります。市長は、「生き生きと活力ある都市づくり」をうたい、「金沢駅周辺と駅西開発推進、駅・武蔵間の整備に全力投球する」と述べています。しかし、これら一連の開発は、主人公である住民が追い出され、そして民間活力導入をうたい文句に大手資本を呼び込むものとなっています。こうした都市づくりは、古都金沢の町が高層ビルに囲まれ、大都会と変わらない都市景観を生み出すもので、市長の進める都心軸中心の開発は、我が党が従来から指摘してきた日本列島改造の「金沢版」であることを改めて厳しく指摘するものであります。そして、この大手資本を呼び込んでの鉄とコンクリートによる金沢の改造も、新たな段階を迎えてきています。 そこで伺いたい第1の点は、市長が描いた「21世紀ビション」、その第1の具現化は香林坊再開発であったわけですが、都心軸中心の開発である片町、香林坊、武蔵、駅・武蔵間、金沢駅周辺、駅西開発の一連の事業にどの程度の財源が投じられようとするのか、伺いたいと思います。私の試算では、これらの事業は18から20の事業に上り、総事業費は現段階で2,000 億円に達するものと思われます。 第2は、都心軸中心の開発は、採算性を第一とするため巨大なビル群を形成し、大手資本を呼び込んで進められています。そして、この都心軸の開発に沿った周辺に、さらにビル群を呼び込むという進行となっています。最近でも、住友、第一、朝日の各生命保険のビルなどが中心部に建設され、今後、此花、本町、堀川町にいずれも生命保険ビルの建設予定、彦三町には3本から4本のビル建設予定など、本市の中心部はビルラッシュであります。民間活力導入をうたった中曽根前首相と鈴木都知事は、首都に「100 本のビルを建てる」と豪語したそうですが、市長、あなたは、現在40メートル以上の建物は既に14本に上っていますが、これから何本のビルを建てるおつもりですか。都市景観を言うなら、市内中心部にこそ古都にふさわしい景観が必要ではありませんか。京都では31メーター以上の建築物の規制を実施し、古都の町並みを守ってきました。市長はこうした実効ある対策を持っておられるのでしょうか。 具体的に、駅前の再開発事業は、金沢の顔とも言うべき駅前に、現在の公園をつぶした上に、高さ73メートルに上るビルを建て、そこには全日空や第一生命という大手資本が占めるというものであります。これが、総事業費148 億円のうち13億円余りの市の財源を使っての金沢にふさわしい駅前なのですか。 もう1つの点として、香林坊の北国新聞社の建物を壊し、地下2階、地上21階のビルが建てられるようですが、この建設に対して、総事業費104 億円のうち、国、県、市から10億6,500 万円の補助が出されるものです。昨年の9月議会では、設計費などに補助金として4億5,200 万円であったものが、今度は事業費の補助として、さらに6億7,500 万円の公費が使われるのであります。特定の企業が建てようとする建築物に、10%を超える公費が次々と使われるのですが、市長、これは問題ではありませんか。一体どんなビルで、だれがどのように使うのか、何が優良建築物なのか、明らかにしていただきたいと思います。 第3に、この都心軸中心の開発は、ビル群をつくり出すとともに、地価高騰を引き起こしています。先般発表された最高路線価格は、平均9.5 %の上昇にもかかわらず、本市は27.5%と異常な上昇を示し、全国の県庁所在地の中で第17位にランクされました。この地価高騰が、駅周辺での土地の先行取得を生み、ビル建設を一層促進するという悪循環を引き起こしているわけです。市長、一体こうした地価対策についてどう認識され有効な対策をとられるのか、伺いたいと思います。 質問の第5に、水道事業についてであります。今回の水道料金の13.03 %の値上げによって、昭和54年の28.4%の値上げ以来5回の値上げによって、この10年間に水道料金は約4倍にもはね上がることになるわけです。ですから、市民の「水道料金は高い」との声も当然であります。しかも、北陸3県の県都の中で一番高く、福井、富山市に比べ、現状で1.5 倍、値上げすれば2倍という高い水道料金であります。市長はこの市民の声をどう受けとめ、どういう理由だと説明されるのか、伺いたいと思います。 ところで、本市の水道事業が実に膨大な水需要の見込みを立て、そのための設備投資をしてきたことの責任は重大であります。徳田市長が描いた60万都市構想では、当時、昭和65年には、本市の水需要は1日最大使用水量40万トンが見込まれ、1日1人最大使用水量を870 リットルとしました。そして、本市の自己水源能力は1日20万5,000 トンだから、その不足分を県水を受水するとして、昭和55年よりこの県水受水を開始し、10年間の契約を結びました。 ところが、実際はこんな水需要がなかったため、昭和57年に県水受水を10年間延期し、昭和77年までとしたわけです。しかし、それでも61年度実績では、水需要計画に対して1日最大使用水量で2万4,660 トン少なく、自己水源能力に対して、需要のピーク時に不足するのは1万4,000 トンにもかかわらず、県水受水の契約は5万9,750 トンの量になっています。しかも、12年後には19万5,000 トンとなる計画です。そこで、企業管理者に伺いたい点は、一体本市の水需要計画のこうしたずさんな内容について、どのように考えているのかということです。 ところで、県水受水契約の問題は、この協定書によって責任水量制になっていることです。すなわち、使わなくても契約量の7割の料金を支払うことにあります。過大な水需要計画によって県水受水を行い、その責任水量制によって、自己水源を6割に落としているのが現状であります。しかも、県水は1立方当たり100 円であり、自己水の1立方当たり27円に対して、3.7 倍もの高い水となっています。これでは市民は納得しません。このような県水に依存する姿勢を改め、自己水源を最大に取り入れることを基本にするならば、水道料金は大幅に値下げすることは可能であります。ですから、現在の責任水量制を改め、受水量に応じた契約に改めるべきであります。一体、昭和77年までの契約となっている現在の協定をこのままにしておかれるのか、企業管理者の見解を伺いたいと思います。 さて、県は手取ダムの当初計画において、上水道に1日39万トン、工業用水で1日10万トンを予想しました。ところが、大浜工業団地の失敗などによって工業用水が使われず、昭和56年に5万トンを水道用水として、その建設費用の分担まで県水の料金に算入してしまったのです。県政の失敗まで本市が負う必要はありません。今回の料金値上げに当たって、64年度からこの県水が、1立方当たり現在の100 円から120 円に値上げされることとしています。既に県との内々の話があったのですか。県水の値上げを前提として、それを盛り込んでの今回の料金改定は許されません。市長の責任ある答弁を求めます。 以上、今回の水道料金の値上げは、市民を納得させるものでなく、その撤回を求めるものであります。 質問の第6として、保育行政についてであります。市長は、保育に対して市費による肩がわりを9,000 万円ふやし、7億円を確保し、保育料を15年ぶりに据え置いたとして、これで教育、福祉は後退させないとする政治姿勢を貫いたとしています。しかし、逆に、据え置いたとする保育料は、15年間にわたって値上げされ続け、そのうち江川市長の手で10年間値上げ続け、本市の保育料は、東京、名古屋に比べ2倍にもはね上がったわけであります。さきの市長選挙でもこの点が厳しい世論の批判の的となり、しかもB階層である市民税非課税の低所得者世帯から保育料を徴収する、全国まれに見る冷たい市政との批判を浴びました。 今回の保育料据え置きという対応は、市長みずからも「市民の要望を受けて」と述べているように、保育料値上げ反対署名が2万名に上るなど、市民の運動と世論の盛り上がりによる結果であります。しかし、現状の保育の危機を打開するものではありません。この5年間に1,400 人もの定員を減らしても、定員を満たすことはできず、その定員割れは80%の保育所に上っています。そのため、保母の首切り、短期雇用、パート化、ボーナス・賃金カットなど、保母の労働条件の一層の悪化が進んでいます。一方、保育料は共働きの若年労働者にとって非常に高いものになっています。子供2人を預けたら、母親の賃金の2分の1、パートなら7割から8割に上っています。 地方自治体の持ち出しがふえたのは、国がその補助金を削ったことに大きな原因があります。60年の補助金一括カット法による国の負担が10分の8から7へ、さらに61年からは10分の5に削減されたのであります。市長、措置した子供に責任が持てる保育を実現する、その責任はひとえにあなたの政治姿勢にかかっています。定員割れへの抜本的な対策、さらに保育料の思い切った値下げ、B階層からの保育料徴収をやめることなど、市長のこうした保育行政の根本的な転換を求め、その所信を伺いたいと思います。 質問の最後に、教育についてであります。卒業、入学の時期を迎え、教育の諸問題が一気に高まっています。どの子も豊かで行き届いた教育をとだれもが願っています。憲法、教育基本法は、戦前の軍国主義教育を反省し、高らかに平和、民主主義教育をうたい、教育の機会均等などすぐれた教育方針を打ち出しました。そして、教育基本法第10条で、教育環境の整備は行政の責任であることを述べています。 ところで、本市の過大規模校の解消は最大の課題であります。53年、31学級以上の中学校は3校にすぎなかったものが、62年には小学校で1校、中学校で8校であります。そのうち分離が決まっているのは鳴和、金石中学校にすぎません。過大規模校は、中学校では全国平均6%に対し、本市は36%に上ります。我が党が先般の政府交渉を行った際、文部省もこの高さに注目しているくらいです。本市は一体どういう計画で過大規模校を解消するのか、市長並びに教育長に伺いたいと思います。 ところで、米丸小学校は、今回の増築によって分離しないとの方針なのですか。分離するというならば、具体的方針を明らかにすべきであります。教育長の答弁をお願いいたします。 次に、森本山間部4小学校統廃合についてであります。私が59年6月議会で質問しましたように、この統廃合が一体教育的観点から本当に必要なのかということであります。牧山小学校の改築要望を逆手にとって、経済的効率を理由に今回の統廃合を実施することは許されません。森本山間部の4小学校の統合は、地域の文化センターを失い、一層の過疎化を進めることになります。しかも、教育的に見て小学校は子供たちが歩いて通える距離にあるのが普通であり、子供たちと住民との関係をつくり、地域の教育力をつくり出しているのです。 子供の人数が少ないから子供はたくましく育たない、教育活動に支障が生じると、いまだに教育委員会は認識しておられるのですか。人数が少なくても、楽器演奏ができない、子供がたくましく育たないなどの指摘に対して、既に音楽教育を初めすぐれた教育実践がこのことへの回答となっています。山々に囲まれての教育の実践は、むしろ現在の教育への指針となっているではありませんか。教育長にこの統廃合をやめることを求めるとともに、どのような教育上の対応なのか伺いまして、代表質問を終わります。(拍手) ○議長(北市朗君) 江川市長。   〔市長江川 昇君登壇〕 ◎市長(江川昇君) 8番森尾議員の御質問にお答えをいたしたいと思います。 まず、新大型間接税についての所見からでございますが、高齢化社会の到来、社会経済の変化等を長期的に展望すると、その安定した財源確保のために、所得・消費・資産、これらの均衡がとれた国民の理解と合意を得た税制の抜本的な見直し、これは避けて通れない問題だと私どもは思っております。 大型間接税の問題につきましては、今後、国会において十分論議をされると思いますので、その推移に、私どもは非常な関心を持っておりますことを申し添えておきます。 臨調行革と本市の行政改革についての問題で、まず補助金削減の撤回を求めよということでございますが、国庫補助負担金の引き下げは、昭和63年度までの暫定措置であり、原則として廃止されるべきものであると私は受けとめております。問題は、国、地方間の税財源の配分、事務配分の見直しとあわせて検討が図られるように、あらゆる機会を通じて国に働きかけていくつもりでございます。 次に、国民健康保険の問題で幾つもお尋ねがございましたが、国民健康保険の問題では、医療費が高いことに対する責任が地方にあるとする考え方は、これは容認はできないと思います。御指摘の制度は、65年度において予定されておりまして、今後の推移を見守っていかなければならない問題だと思います。 健康保険の保険料でございますが、この悪影響分に対する今回の補填額を、63年度保険料で充当すべきでないかというような御意見もあったようでございますが、この補填措置は、このたびの制度改革に伴い、62年度予算において補填されるものであって、62年度において財源不足を緩和することともなるわけであります。 なお、本市においては、退職者医療制度により、悪影響額について一般会計から繰り入れをするなどの現実的対応を行っておりまして、保険料には求めていないところであります。 62年度の国民健康保険事業会計の補正を行わないのはどういうわけかということでございますが、現時点では医療費が12月診療分までしか確定しておりません。国庫補助等の収入もなお極めて不確定でありまして、予算を編成できる状況ではなく補正しなかったものであって、他意は別段ございません。この国保の制度の改正について、賛成なのか反対なのかという御質問でございますが、これはやむを得なかったものだと私は思います。 次に、臨調行革に対して幾つかのことが、廃止等の話題になっておるのじゃないかということでございますが、まず各戸のごみの収集でございますが、本市の普通ごみ収集は、週2回ステーション方式で実施することが原則になっております。各戸収集については、市内中心部のうち限られた一部の地域で、かつ週2回収集のうち1回はステーション、1回は各戸収集の形態でありまして、今回、市民の不公平感の是正と収集効率の向上を図るために、完全ステーション方式に移行するものといたしたわけでございますので、御理解を願いたいと思います。 もう1つ、ごみ処理の基本計画の問題がありますが、廃棄物処理問題を取り巻く環境は極めて大きく変化しつつあります。ごみの変化量、資源化、廃棄物の行政の効率化及び施設の計画的な整備は、今日的な課題でありまして、これらを踏まえ、本市では昭和62年度を初年度といたしまして、20年間のごみの収集、焼却、埋め立てなどのごみ処理基本計画を策定をしております。しかし、将来計画については、社会情勢等の変化に伴い適時見直していくべきであると考えておるのであります。 次に、臨調行革と本市の行政改革についてのうちで、69歳医療費の償還払いから現物給付に対する考えはないかということでございますが、医療費助成の方途のみから言えば、現物給付の方が対象者の利便になることは十分に理解しております。しかしながら、県においてもこの点を含め十分論議を尽くして決定されまして、県内統一された方法で実施した経緯がありますので、その点はひとつ御理解を願いたいと思います。 次に、来年度の予算の問題に移ります。法人市民税の問題でございますが、法人市民税については、景気の回復を反映して増収が予想されております。市税計上額については、確保できると考えて計上いたしました。64年度以降の法人市民税については、景気の変動に敏感に左右される税であること、また税制改正も予想されますので、現時点ではどういうぐあいになるか、予想することは非常に難しい問題だというぐあいに考えております。 なお、市債の問題をお取り上げになりましたが、私は、市債はその事業についたものであります。したがって、その市債も事業の性質上やむを得ず計上したものでありますので、ただ単に公債比率の向上を云々すべきものではなしに、事業そのものが必要であるか必要でないかを論議すべき問題だと、私は思っております。 次に、国民健康保険の問題でございますが、このたびの制度改革は、3大臣の合意に基づいて地方各団体において受け入れたものでありまして、国及び県の指導により当初予算に組み入れることといたしましたので、これはもっと前に申し上げるべきでありましたが、そういうことでございます。 来年度の予算にまた戻りますが、財務部長から財政運営の見通しについては申し上げたいと思います。 来年度の予算について、市民の負担が公共料金の改正によってふえたのではないかというような議論もあったようでございますが、公共料金は常に受益と負担のあり方を考え、適時適切に見直すことは、行政に責任を持つ者の責務であると考えております。これを怠れば、結局後にツケを残すだけと相なることは事実でございますので、御承知を賜りたいと思います。 明年度、保育料は15年ぶりに据え置き、あるいはまた国保料が前年に引き続いて限度額のみの改定で、料率は2年連続据え置きました。あるいはまたガス料金を引き下げたほか、水道料は3年ぶりにやむを得ず改正したものであって、これらの点はひとつ御理解をいただきたいと思うわけでございます。 次に、金沢駅中心の問題に移りたいと思います。「21世紀" 金沢の未来像”」に基づく、都心軸金沢駅・武蔵ヶ辻、それに香林坊、片町地区は、都心商業業務地として、都市の合理的かつ健全な高度利用を図り、都市の機能を整備するための市街地再開発事業を主体として整備を進めてきたものであります。 62年度には、事業が完成した地区は6地区で、現施行中のもの1地区を含めた施行面積は約7ヘクタールで、その事業費は約710 億円であります。今後予定されておる地区は駅・武蔵北地区5工区を含めた8地区で、施行面積約7ヘクタールと思われますが、事業についてはその設計計画が具体的に定まった上に決まるわけでございますが、現段階ではかれこれ推定することはできないと思います。 駅前の第2地区再開発でございますが、本市の顔である金沢駅周辺の整備は21世紀町づくりの重要な課題であります。駅前第2地区の再開発事業は、この一環として行うものであって、当然地区内の権利者の意向を踏まえ、本市の発展のために行うものであります。大資本優先であってはならないし、また大資本優先でないことを御承知を願いたいと思います。 当該事業に対する市費の補助につきましては、都市再開発法に基づく公共施設整備や共同施設に対するものであります。 現在、金沢市内に該当する建築物は14件ほどあります。いわゆる40メートルを超える高層建築物の建設予定地でありますが、これらの建築経過を調べると、毎年1件内外となっております。商業床、業務床など今後の経済状況による床利用の問題もありまして、建設予測は非常に難しいものと考えますが、総合的にこれらの高さの制限等々につきましては、都市景観の懇談会で論議されるものと考えております。 次に、地価の問題でございます。土地の価格の問題でございます。この問題はなかなか難しい問題でございまして、東京の問題が次々と次の都会に移りつつあるやに思っておりますが、私たちといたしましても、金融機関等に対して、その貸し付けについては十分に気をつけていただきたいということを既に申し入れをしております。県もまた金沢市を指定地にするということは見合わせておるような現状でございますが、しかし、こういうことはあってはならない問題であります。私はこうした問題には深く関心を持ちながら、これからの土地価格問題、あるいはそれに関する諸問題に対処していくべきだと考えております。 水道事業につきましては、水道の管理者からお答えをいたします。 なお、水道のうちで県水が失敗して、そのために市がそれを補充するような形になったのじゃないかというようなお尋ねでございますが、これには長い交渉、経過等もございます。そして、今日に至っておるのでありまして、我々は暫定価格をもう少し延ばしてほしいという延長方を交渉中でありますので、その成り行きを見ていただきたいと思っております。 保育行政でございますが、保育料の引き下げを図れということでございますが、保育所の経営を金沢市では市の直営と、そして民間に委託の分とあるわけでございまして、私は、いずれの保育所にいたしましても市長が責任を持っておることは当然であろうと考えております。 保護者の負担の軽減を図るためには、可能な限り新年度の保育料は現行のままに据え置きましたが、前年における所得税の減税から見ますと、約3%ぐらいの値下げにもなっておるのじゃないかなとも思っております。保育所に入所するしないにかかわらず、児童の一般的な生活費は保護者が負担すべきであるとの意見もあり、B階層の保育料については、給食費の一部の御負担をお願いするという考えのもとに、これも引き続き遂行をいたしていく考えであります。 それから、教育のうちの過大規模校の解消の問題と山間部の問題について一言申し上げます。 「過大規模校の解消など学校規模の適正化による施設整備については、これを優先する」と、臨時教育審議会の答申にもうたっております。本市といたしましても、答申を踏まえ施設整備や屋外環境を含めて教育条件の改善を図っていきたいと思っております。 なお、63年度中に、市内全域の中学校の通学区域の見直しの調査を行うことにいたしております。 いま1つは、森本山間部の4つの小学校の統合の問題であります。三谷、牧山、竹又、土子原の4小学校の校下の方々の合意を得て、4校の統合と宮野地内で学校を建築することが決定いたしました。今後は、適正な学校規模と地域の皆さんの需要にふさわしい体育館及び運動場を確保するため、地域の方々と十分理解を深め、立派な学校を建設いたしたいと思っております。 以上、あらあらと述べましたので、落ちているところがあるかもしれませんが、以上のとおりでございます。 ○議長(北市朗君) 柴田財務部長。   〔財務部長柴田豊君登壇〕 ◎財務部長(柴田豊君) 市長答弁を補足させていただきます。 今後の財政運営の見通しでございますけれども、総論的には行財政の一層の簡素・効率化を進めまして、後年度の負担となる市債、また債務負担行為の抑制を行いながら、所要財源の均てん化を図るための積立基金を生かしていきたいと思っております。 なお、市債が大幅に伸びたのではないかという御指摘がございましたけれども、これは、御承知のとおり東部清掃工場の建設、北部運動公園整備、そしてNTT公共事業債の増等によるものでございまして、63年度に新しく設けます減債基金はこのような市債の計画的な管理を行いまして、長期的な財政の健全な運営に資するための措置でございます。 次いで、歳入面では、市税、特に景気に大きく左右されます法人市民税の動向を見きわめますとともに、地方交付税、国・県支出金等の財源の確保を図っていきたいと思っております。 また、歳出面では経常的経費の節度ある執行と公共事業の計画的な執行に努めまして、健全な財政運営の一層の努力に努めたいと思っております。 以上です。 ○議長(北市朗君) 渡辺公営企業管理者。   〔公営企業管理者渡辺次男君登壇〕 ◎公営企業管理者(渡辺次男君) 森尾議員の水道事業に関する御質問にお答えを申し上げたいと思います。 まず第1は、水道料金が富山・福井両市に比べてなぜ高いのかという御質問でございます。水道料金の他都市との比較におきましては、それぞれ各都市の水源、地形的な要因、あるいは社会構造等の実態が異なりますので、一概に評価はできませんが、富山あるいは福井両市の場合は、本市と異なりまして、水源のそのほとんどは、もとの水--原水の安い大きな河川の表流水、福井の場合は地下水に依存しているためと思われます。したがって、そういう資本費関係の問題が大きく影響しているのだろうと思います。 ちなみに申し上げますと、水道協会の62年7月1日現在の調査結果によりますと、我が国の上水道の1,851 事業体における家事用10立方当たりの料金比較によりますと、大体14.6倍の差がございます、最高と最低の間では。そして、本市と同程度の規模の給水人口でございます30万から50万未満の水道の事業体における家事用10立方当たりの料金は、最高が1,430 円、最低が440 円、あるいは人口段階的に申しますと、10万から30万人未満の給水人口のところでは、最高の10立方当たりの価格は1,655 円と、そういうような非常に格差があるということでございます。 これは、さまざまでございまして、我々、料金設定の場合に、能率的な経営のもとにおける適正な原価を基礎といたしまして、公正、妥当なものに料金をしなさいと、そして、そのことが健全な運営を確保できるものであること、これは御承知のとおりでございます。そういう中で料金を設定しておりますことを御理解いただきたいと思います。 それから、今回の水道料金改定に当たって、63年度、64年度の財政計画の中で県水受水費の1立方当たりの単価は、63年度は従来どおり、64年度につきましては、55年受水開始して以来、今日の100 円まで、70円の段階、90円の段階、100 円の段階がございました。それらの改定率を平均いたしますと、39.68 %になります。したがって、その平均値である20%を基礎として算定したということでございまして、この受水単価につきましては、県の水道用水供給条例第5条に明確に規定されておりますので、それが基礎になります。したがいまして、今のところ私ども、県と受水単価の将来について話し合ってはおりません。算定の基礎としてそういうものを用いたということでございます。 それから、県水受水の契約の見直しということでございますが、節水意識の浸透、あるいは大口需要家の地下水への切りかえ等によりまして、近年、水需要の伸びは鈍化してきておるわけでございます。そして、58年2月に県との受水契約の見直し変更が行われたことは御承知のとおりでございますが、その後においても水需要の伸びは停滞ぎみに推移しておるために、かつて急激な需要増の傾向にあった当時の需要予測と今日の実態との間に隔たりが生じてきておることは事実でございます。したがいまして、本市は、受水量、最低責任水量の見直し、受水単価の抑制等について県に申し入れをいたしまして、また県内の受水市町とも一体となって折衝を進めておるところでございます。 それから、水道料金の改定を撤回せよということでございますけれども、提案をいたしております水道料金の改定は、事務事業の見直しによる人員の削減や起債借り入れの抑制及び一部繰り上げ償還の実施等によりまして、極力経費節減等を図ってまいったわけでございますが、水需要の伸びの停滞、県水受水費の増大等によるほか、改定時期を1年見送ったことなどによりまして、現行料金のまま推移いたしますと、事業の健全経営に大きな支障を来すこととなりますので、ぜひ御理解をいただきたいと思います。 以上でございます。 ○議長(北市朗君) 奥教育長。   〔教育長奥清君登壇〕 ◎教育長(奥清君) 森尾議員にお答えいたします。 まず、過大規模校の解消についてでありますが、規模の大きい中学校の分離、新設に努力を続けてまいりました。昭和56年高尾台中学校の新設、57年緑中の新設、62年港中の新設、発足させ、そして本年4月北鳴中学校を開校予定しております。さらに、現在(仮称)第2金石中学校を建築中でございまして、来年4月開校の運びになります。 また、南部地区におきまして、泉本町地内に用地を求めたく地元の方々や地権者の方々と話し合いをし、協力をお願いしておるところでございます。大変厳しい状況下にありますが、用地確保のため、さらに努力を続けたいと思っております。 小学校についても、昭和50年代以降12校の分離、新設を行いました。米丸小学校のみ現在31学級でありますが、用地の確保が極めて困難な状況であります。本年は米丸小プレハブ校舎の解消を図りたく校舎増築を計上してございます。 次に、統廃合に伴います教育効果の問題に触れられました。まず三谷、牧山、竹又、土子原4小学校の児童数について、今後の推移を調べますと、年々減少傾向をたどり、複式学級から複々式学級に転落する学校も想定されます。 小人数対象の教科指導につきましては、教師の手が行き届き、個別指導も可能で長所もございます。しかし、反面、児童相互間の刺激が少なく、依存心が強くなり、消極的で教育効果の低下も懸念されます。また、体育におけるチームプレーや音楽の合唱、合奏などの不成立、集団思考や多人数の中での適応性が乏しいなど、人間形成や教育効果の面でも短所がございます。統廃合によりまして、学校の施設や設備を充実し、指導体制を整えまして、行き届いた教育実践に努めたいと考えておりますので、御理解を願いたいと思います。 以上です。 ○議長(北市朗君) 12番山田透君。   〔12番山田透君登壇〕(拍手) ◆12番(山田透君) 私は、公明党市議員団を代表いたしまして、63年度予算案並びに財政問題を中心に、当面する諸問題についてお尋ねをいたします。重複する面もございますので、市長並びに関係者の御答弁をよろしくお願いいたします。 最初に予算案についてであります。新年度予算案は、昭和57年度以来6年ぶりに積極型予算が編成され、一般会計は1,000 億5,400 万円余と、初めて1,000 億円台に上り、前年度当初に比べ6.8 %増という高い伸び率を示しているのであります。公共事業の拡大と国庫補助金の削減等への対応で市債は前年度に比べ6割増加しております。その対応策として減債基金を創設して、償還財源の確保を図り、また積立金制度を活用し、健全財政の維持に努めるなど、さすが3期熟年期を迎えられた江川市長の行政手腕に敬意を表するするものであります。活力ある都市づくり、福祉の充実で健やかで幸せな社会づくり、また教育の充実で未来を託す人づくりなどのきめ細かい施策は、常に教育と福祉は後退させないと言われている市長の信念が貫かれており、これ以上欲を申し上げましても切りがございません。63年度予算編成に当たられました市長初め関係者の御努力に敬意を表し、一定の評価をするものであります。 私は、今定例議会初日の市政に対する所信の一端を拝聴いたしまして、江川市長が金沢市制施行100 周年記念事業にかけられる気迫と情熱あふれるロマンを強く感じたのでありますが、江川市長は特に何に主眼を置いて新年度予算編成をなされたのか、その心情を承りたいと思います。 次に、財政問題に関してであります。 1点は、市税についてであります。まず法人税でありますが、前年度当初に対する伸び率は26.8%と地方財政計画の伸び率17.6%を大きく上回っております。内需拡大等による企業業績の上昇を期待されてのこととは思いますが、円高基調の中、昨年秋以降の株価の暴落と今後の経済状況を考えますと、この見積もりは過大ではないかと危惧するものでありますが、市長のお考えをお伺いいたします。 次に、利子割交付金であります。我が党は、従来マル優廃止に反対の立場をとってきたのでありますが、4月1日から老人等一部を除いて一律分離課税され、その一部が市町村に対し交付されることになったのであります。このような新制度の予算見積もりには、過去の実績もなく苦慮されたことと思いますが、その算定基礎などお伺いをいたしたいと思います。 次に、市債発行の増についてでありますが、昭和63年度一般会計当初予算の投資的経費は、東部清掃工場建設や北部運動公園整備を中心に19.9%増の積極的なものとなっているのであります。しかるに、その財源は国庫補助率削減の継続と相まって、市債への依存度が高いものになっており、62年度当初予算に比べ17億2,000 万円余の53.6%の大幅増となっております。ここ数年来、起債依存体質から脱却するため、大規模事業に対しては事前に基金の積み立てを行うなどして、市債発行の極力抑制に努力された結果、公債費比率は60年度の13.5%をピークに、61年度は13.3%と、51年度以来11年ぶりに減少に転じたところであります。 しかし、今後、内需主導型経済移行に伴う公共事業拡大が続くものと予想されることから、このような市債発行の増発は避けられないと思うのであります。市債残高は63年度末に約685 億円余を超え、市民1人当たり15万7,000 円余にもなる見込みであり、将来への負担はふえるばかりであります。今後の市債発行に対する市長の所信をお伺いいたしたいのであります。 次に、下水道事業の起債についてであります。国の予算においても社会資本の整備を中心とした大幅な内需拡大の振興策がとられており、特に下水道事業にあっては、住民の生活に密着した公共事業の根幹として、その積極的な推進は不可欠なものであります。本市の明年度当初予算においても、厳しい財政事情のもと、引き続き190 ヘクタールを確保されるとともに、犀川左岸流域下水道事業にも着手されるなど、その積極的推進の姿勢には高く評価するものであります。しかし、この財源はNTTを含む建設改良費の約4分の3にも上る多額な起債に依存しておるものであり、この残高は63年度末には600 億円を超えるものとなる見込みで、一般会計の市債残高に匹敵するものであり、将来の下水道財政にとってはこの借金の償還が大変な負担となり、まことに憂慮にたえないものがあると思うのであります。 そこで、提案でありますが、下水道事業収益が剰余金として積み立てが可能になるまで、もちろん国への働きも大事でありますが、自治体として都市計画税の一定の割合を下水道事業に投入して、明年度一般会計で創設されたいわゆる減債基金制度をこの会計にも設置し、起債の適切かつ計画的な発行や償還などの運営ができないものか、市長のお考えをお伺いいたします。 次に、基金及び歳計現金の運用についてであります。我が国の公定歩合は、昨年の2月23日以来2.5 %という極めて低い率で推移しており、これに連動し、さらに国際的な貿易不均衡との関係もあって、超低金利の時代を迎えております。こうした中で、余剰資金を有する企業などを初めとして、まさに世は財テク花盛りであります。昨今、方々の地方公共団体におきましても、その余裕資金の運用に知恵を絞っていることを耳にいたしております。もとより、公共団体というものは、民間企業のように利益のみを追求するような財テクは許されるものではなく、また地方自治法上、指定金融機関その他の確実な金融機関への預金、その他の最も確実かつ有利な方法によって保管しなければならないという制限を受けているのでありますが、さりとてただ単に普通預金などにのみ預け入れていればよいというものではないと思うのであります。今日の超低金利時代において市民の関心も高まっておる折でもあり、いろいろ苦心されていることは承知をしておりますが、本市ではどのように歳計現金や基金などを運用しておられるのか、その現状と今後の見通しについて収入役にお尋ねしたいと思います。 質問の第2点は、国民健康保険事業についてであります。国は、62年度補正予算で退職者医療制度の創設に伴う地方財政への影響額に未補填額について全額補填措置が講じられるやに聞いております。昭和61年度の決算において、59年度、60年度相当分5億4,000 万円余を一般会計から国保会計へ繰り出ししているのでありますが、これはどのように措置されるお考えか、まずお伺いいたします。 国は、63年度、64年度の暫定措置として、保険基盤安定制度による軽減保険料に対する補助、また保険経営の安定化のため高額医療費共同事業の充実として、地方財政措置などを講じるとしておりますが、本市へのこれら影響額はそれぞれいかほどになるのか、見込み額をお示し願いたいのであります。 63年度の保険料の料金は、保険制度の見直しによる保険料の軽減措置や競馬事業からの繰り入れ増額などで、現行のまま据え置かれたことは、公共料金値上げ抑制に努力されたこととして評価をするものでありますが、賦課限度額は39万円から40万円に引き上げられたのであります。税の老人控除の対象にならない65歳未満の年金生活者や賦課限度額すれすれの所得者の方々の家計に直接大きな影響を与えるものであります。こうした方々への軽減措置が配慮できないものかどうか、お伺いしたいのであります。 御承知のように、国民健康保険の加入者の大半は、お年寄りや零細商店の関係者であり、保険料の値上げには限度がございます。また、多額の財源となっております市営競馬事業からの繰り入れはいつどうなるか不透明であります。健全な保険運営のために、一般会計において事務費以外の医療費に対しても一部繰り入れは許される時代に来ているのではないかと思うのでありますが、市長はどのように考えておられるのか、所見をお伺いいたしたいと思います。 次に、医療費の適正化を図るため、全国的に見て医療費水準の高い地域に限定して国庫負担を調整措置し、いわゆる地方負担をさせようというものであります。先般の新聞報道には、市町村ごとに定める基準医療費の2割を超えた部分とすることに厚生・自治・大蔵の3省が合意をしており、61年度国保医療の実績に基づく試算によりますと、2割を超えたのは236 市町村で、63年度に指定を受けるのは約100 市町村前後になるとしているのでありますが、本市は基準の2割を超す市に入るのかどうか、2割を超すとすれば本市への影響額はどのぐらいの見込みか、わかればお示し願いたいのであります。 質問の第3点は、福祉行政について3点にわたりお尋ねいたします。 最初に、福祉ボランティアの町づくり推進についてであります。ボランティア活動推進会議で活動推進基本計画の策定が図られるようであります。今後、幅広くボランティア活動が地域の中に溶け込んでいく上で、活動推進基本計画の早期策定が望まれるのであります。新規事業として、「金沢市福祉ともしび賞」がつくられましたが、ボランティア活動参加者を顕彰することは、まことに時宜を得たものと思います。今後ボランティア福祉活動はどのように地域へ拡大していかれるのか、また基本計画策定はいつごろまとめられるのか、お伺いいたします。 2点としては、「まちぐるみ福祉活動推進事業」についてであります。総合福祉サービス調整会議を設置し、在宅の高齢者、障害者などに対する福祉・健康・医療を総合したネットワークづくりの推進を図るということであります。高齢化社会の対応策として、まことに時宜を得た施策であり、一日も早く福祉活動推進チームが結成されることを期待するものであります。総合福祉サービス調整会議の構成員と福祉ネットワーク構想についてどのようにお進めになるのかお伺いをいたします。 3点として、独居老人への給食サービスについてであります。デー・ケア・サービス事業として、福祉センター等で寝たきりで介護を要する在宅老人を対象に、食事や入浴サービス等は既に実施されているところであります。また、味噌蔵、此花公民館等で一部の老人を対象に会食サービスが行われていることも承知をいたしております。最近、全国各地の自治体でひとり暮らしのお年寄りへの給食サービス事業が実施されております。ちなみに、神戸市の給食サービスを御紹介申しますと、毎月1回学校給食のない土曜日の昼食を対象に、調理室、空き教室を利用して行われており、学校の給食調理士に協力をしていただき、民生委員や婦人会、ボランティアの方が配膳をし会食するというもので、費用はお年寄りが半額程度負担するということであります。「まちぐるみ福祉活動」の推進チームか、ボランティア活動推進の計画か、いずれかの福祉活動の一つに加えていただきますと、ひとり寂しい思いで暮らしておられるお年寄りに、どれほどか楽しい思いをさせてあげることができるのではないかと思います。市長の心温かい前向きの御答弁をお願いいたします。 質問の第4点は、弓取川改修事業についてであります。この事業は、延長2,180 メーター、総事業費40数億円を要する大事業であります。都市小河川改修事業として、通常の国庫補助ベースで昭和56年度から80年代完成目標と、大変長期間を要すると聞いております。弓取川は川幅も狭く、特に弓取団地周辺は、海抜ゼロ地帯などと言われるところで、川の流れる水より宅地の方が低いと言われているのであります。最近の上流地域の宅地開発の激増で、大雨が降ると短時間に増水し、まことに危険な状況であります。こうした危険を早く解消したいという住民の願いから、弓取川改修促進期成同盟会が結成され、早期促進を訴えて運動はしているのでありますが、総事業費40数億円という莫大な財源を要する大事業でもあり、現在の国の補助ペースでは完成までなお長期間かかる計算となります。明年度より河川法の改正により、市が事業主体にかわると聞いておりますが、大きな災害が発生する前に改修が完了するよう事業の促進には特段の努力をしていただきたいという声であります。市長の前向きの御答弁をお願いいたします。 質問の5点は、北部運動公園と関連する道路整備についてであります。 最初に、北部運動公園についてでありますが、市制100 周年記念事業として、野球場施設が本格的着手され、66年「石川国体」の野球競技施設として使われるわけでありますが、国体終了後の一般市民の利用についてはどのように対応されるのか、お尋ねいたします。 公園内には泉の広場や、またピクニック広場、それにジョギングコースがつくられ、市民の憩いの場として家族連れで楽しめる場所ができることは、大変な喜びであります。世界や日本の花木を中心に植樹し、公園を夢のある公園にするようでありますけれども、桜の花を周囲に植えていただきたいという声もあります。また、泉のある広場の滝や池の水は、隣接の浅野川下水処理場の処理水を利用してはいかがでしょう。多少費用がかかっても市民に処理水の清流を見ていただき、下水道事業をより理解していただくために御検討をお願いしたいと思います。 2点として、新年度予算に計上されております磯部橋のかけかえと周辺道路の整備事業であります。北鉄の浅電磯部駅から橋を渡り運動公園まで約1,300 メーターの距離があります。 最近、車社会で親も子供も歩くことが少なくなりました。そこで、磯部駅から家族そろってハイキング気分で運動公園まで行けるような、夢のある遊歩道の整備にしていただきたいのであります。例えば、歩道をカラーにして子供の好みそうな動物の絵をかくとか、またかわいい草花や花木を植栽した道路などはいかがでしょうか。 3点は、都市計画道路疋田-御経塚線の整備についてであります。新年度予算に北安江町地内の浅野川に橋の建設費が計上されております。この橋の建設により、北安江東交差点から県道八田-金沢線に連結することになり、開通すれば北部運動公園や高柳地区に通ずる道路として利用されることになるのであります。当初この都市計画道路は、北陸鉄道の踏切と向栗崎-金沢線の県道、さらには浅野川にわたって立体交差にすると聞いていたのでありますが、予算には橋の建設だけであります。あの計画はどのようになったのか、まずお伺いしたいと思います。 現在、この向粟崎-安江町線の県道は、朝夕の通勤時には大変な交通渋滞となっているところであります。したがって、この計画道路が開通いたしますと、現在、高柳地域にはレジャーセンター「ルネス金沢」などの施設もあり、北部運動公園ができると、周辺地域はやがて新天地へと発展していく可能性があります。こうした将来を展望いたしますと、北安江東交差点は、当初都市計画されましたように立体交差にして、交通緩和対策が必要ではないかと思いますが、市長、どのように考えておられるのかお伺いいたします。 次に、外国人留学生のための相談室の設置についいてであります。本市には、外国人留学生、研修生合わせて約120 名の方が在住されているところであります。急激な円高の影響を受けて、国費による留学生、また私費留学生を問わず日常生活はかなり苦しい状況にあります。特に、東南アジア等の発展途上国の私費による留学生の中には、深夜遅くまでアルバイトをしたり、交通費を節約するため歩いて通学するなど、中には生活費をやりくりするため毎日インスタント食品で暮らしている学生も多いと聞いております。金沢市を中心とした留学生の生活を援助するための石川県留学生協会という民間のボランティア活動の友情に支えられているとはいえ、大変な生活を余儀なくされている現状であります。最近は、全国の自治体、県、市において奨学金交付や住居費の補助、また住宅提供や相談窓口の設置など、種々の留学生受け入れ事業が活発に実施されているところであります。 時間がないので、詳しいことは申し上げられませんが、経済大国と言われる日本で学んでいる外国人留学生は、優秀な人材で母国に帰ればやがては国を背負って立つ青年であります。言うなれば、留学生は日本と母国を結ぶ貴重なかけ橋となる存在ではないかと思うのであります。市民憲章に「ひらこう世界と未来に心の窓を」とうたってあり、また日ごろ口にされます国際都市金沢を真に標榜されるのであれば、とりあえず気軽にアルバイト探しや、また市民との交流を図る相談窓口の設置を図るお考えはないかどうかお伺いいたします。 質問の最後にオーケストラ出資金についてであります。新年度予算案に、県が設立するオーケストラの出資金として1,000 万円が計上されているのであります。設立の趣旨をお聞きいたしますと、小中学生や高校生を対象に音楽鑑賞教室を開催したり、生のすぐれた演奏に触れさせ、豊かな情操と創造性を陶冶し、児童・生徒の健全育成を図るとか、一般県民に鑑賞の機会を提供し、地方文化活動の向上発展の一助としたいなどのようでありますが、文化、教育、平和は人間にとって等しく大切なことで、オーケストラを設立することに反対するものではありません。むしろ成功を期待したい気持ちであります。が、しかし、この趣旨から判断いたしますと、最初から採算性は度外視され、運営費の一部負担を市に押しつけるやり方ではないかと思えるのであります。したがって、市の対応はもっと慎重に時間をかけるべきではなかったかと思うのであります。 市長は、オーケストラの運営や運営費等について、どのような認識の上に立ち、出資を決断されたのか、また、4月予定されている設立準備委員会には参加されるのかどうか、これは先ほどの答弁で参加をするということでございますので、そうでありますならば、もしオーケストラ事業に参画されるようであれば、オーケストラの名称には、例えば「金沢〇〇オーケストラ」というように、「金沢」が入る名称にすべきであるという声がありますので、この際御進言申し上げまして、私の質問を終わります。(拍手) ○議長(北市朗君) 江川市長。   〔市長江川昇君登壇〕 ◎市長(江川昇君) 12番山田透議員の御質問にお答えをいたします。 まず、予算でございますが、予算につきましては評価を賜りまして、深く感謝を申し上げます。私は、今回の予算を編成するに当たりまして重点といたしましたところは、まず金沢市の活性化でございます。次には、文化と伝統環境の育成、3つ目には教育と福祉の充実、行政改革の推進、この4つを重点事項といたしまして予算編成に努めたのであります。 そこで、予算案の財政問題につきましては、財務部長から御説明いたしますけれども、財政問題のうちの法人市民税の見積もりは過大ではないかと、こういう御質問でございますが、法人市民税につきましては、円相場、経済摩擦の両動向と先行き不明朗による要因もありますものの、内需拡大策の浸透等によりまして、景気は内需を軸に上昇過程をたどるものであります。そういう思いからいたしまして、企業実績は一部のものを除き引き続き増益基調に推移するものと予測され、さらには過去の実績、本市の特殊事情等も十分考慮して計上したものでありまして、過大ではないと思っておる次第でございます。 利子割交付金の算定につきましては、地方財政計画を基本として、日銀金沢支店及び北陸財務局等の作成した全国と石川県の預貯金の量、そういったものを参考に算定をしましたので、綿密にこれらを調べた上でのものでございます。 次に、下水道事業の起債でございますが、御提案の趣旨については一つの方策ではあろうと思います。制度的には、公共下水道事業では、地方公営企業法の一部を適用しておるために、剰余金処分による減債積立金の積み立て制度によることと相なっております。ここで、都市計画事業税等についてのお話がありましたが、今それを使うまでにはまだ至っておらないと私は考えております。 なお、公共下水道会計では、ようやく本年度で累積欠損金が解消される見込みとなりました。いましばらく収支状況を見きわめながら慎重に対応したいと考えておるわけでございます。 歳計現金の問題は収入役からお答えをいたします。 次に、国民健康保険の問題で幾つかお尋ねがございました。まず、61年度における退職者医療制度の悪影響額に対する繰入金の措置でございますが、この件につきましては、さきにもお答えをいたしましたとおりでありますが、62年度における保険料抑制の財源としておりまして、その点は御了承を願いたいと思います。 次に、賦課限度額の改定による保険料の負担増でございますが、63年度においては、62年度に引き続き保険料率を据え置くことにより、賦課限度額到達世帯増加の抑制に配慮した結果、減税の効果もありまして、該当世帯数は減少する見通しがあります。保険料、所得、資産、被保険者の数に応じて賦課されることとなりますが、災害その他の特別の原因により納付困難となった場合については、条例に基づく減免の制度によりまして対応してまいるつもりであります。 国民健康保険に対して一般会計からの繰り入れの考えでございますが、国では昭和60年代の後半において国保制度の抜本的な改革を検討中であり、この推移とあわせ国保事業の情勢を見ながら検討していくつもりでありますが、単に一般会計から繰り入れするということは考えてはおりません。 医療費適正化事業による影響額等についてでございますが、この制度は63年度からの医療費に基づきまして、65年度から実施を予定されておるものであります。63年度における本市及び全国平均の医療費により対象となるか否か、また、どの程度の国庫負担調整がなされるかが決定されるものでありまして、現時点では見込みが立てられないというのが実情でございます。 次に、福祉行政でございます。市といたしましては、ボランティアセンターを拠点として、地域におけるボランティアグループの組織化を全市的に推進してまいっておるところでございます。ボランティア活動推進基本計画については、金沢市社会福祉協議会において、各界各層の委員から広く御意見を伺っておる段階でありますが、いずれ本市におけるボランティア活動のあり方、基盤づくり等について成案が得られるものと期待をいたしております。 さらに、総合福祉サービス調整会議でございますが、総合福祉サービス調整会議は、福祉と保健、それに医療の実務的な連携を図るために連絡調整会議を設けるものでありまして、構成員は、福祉関係、保健関係、医療関係の代表者を、そして並びに地域団体の代表者を交えて構成をしたいと考えております。 福祉ネットワークの構想でございますが、在宅援護者に対し、民生委員を中心とした地域住民の協力によって、福祉、保健、医療の各種のサービスの提供等を通じまして、地域社会の中でともに安心して生きていける状況づくりを目指していきたいと考えております。 ひとり暮らしの老人に対する給食サービスについてでありますが、現在7つの地区の福祉協議会で実施しておりまして、明年度新たに2地区が実施すると聞いております。学校給食施設を利用することは考えられますが、これには処理能力等早急に実施するというわけにはいかない状況であります。また、地域の方々との協力も必要であることから、今後の大事な課題として研究してまいるつもりでおります。 弓取川の改修でございますが、弓取川は、近年の流域の都市化から早期に改修が必要であり、56年度からこの事業に着手をいたしました。61年度以降、国からの補助も大幅に伸びを見ておりまして、下流部の方から一部工事に着手したところでありますが、今後もなお引き続いて地元の協力を得て事業の促進に努力をしてまいるつもりでおりますので、御承知を願いたいと思います。 北部運動公園に関してでございます。国体終了後には一体どういうぐあいになるかという御質問でございますが、国体終了後は、他の一般の施設と同じように市民に広く開放するものであることを御承知を願いたいと思います。 北部運動公園の植栽、まず豊かな緑をつくり、その中で桜を含む各種の花木を配し、四季折々の花を咲かせて市民の憩いの場ともなるように計画をいたしております。御提言の趣旨には私も賛成でありますので、実施に当たっては具体的な検討を加えてまいりたいと思います。 公共下水道処理水の利用は、これは水資源の有効利用としても、また公共下水道普及啓発の一環といたしましても有意義と思われるので、現在検討中でありまして、これはぜひ実現をさせたいものだと考えております。 北部運動公園と関連する道路整備について、磯部橋のかけかえ工事、それに歩道の整備事業でございますが、磯部橋は浅野川河川改修工事にあわせてかけかえを行い、65年度完成を目指しております。 疋田-御経塚線につきましては、担当部長から御説明をいたします。 次に、外国人の留学生の相談窓口の設置でございますが、外国人の留学生の相談は、総務課国際親善係で対応しております。今後ますます増加する海外との交流に対処するため、現在、金沢国際交流センター設立検討懇話会、これを設置いたしておりまして、具体的事業を検討中であります。センターの業務としては、当然外国人の相談業務もその主なる業務の一つとして中に入ってくることは間違いないと思っております。 オーケストラの事業につきましては、オーケストラに対する考え方は、一般市民を初め、青少年の豊かな情操の陶冶と、市民の音楽文化の振興に大きな寄与をするものであると確信をいたしまして、設立される財団へ出資することといたしました。 音楽文化振興財団設立準備委員会の参加につきましては、県から要請を受けておりますので、これに参画をいたしまして、運営費補助につきましてはもちろん、今後の経過を見きわめてまいりたいと思うのでありますが、オーケストラの名称につきましては、設立準備委員会で検討されるわけでありますが、「金沢」をつけるように強く働きかけてまいる所存であります。 ○議長(北市朗君) 柴田財務部長。   〔財務部長柴田豊君登壇〕 ◎財務部長(柴田豊君) 市長答弁を補足させていただきます。 市債発行の増加でございますが、63年度の市債増加の要因のうちには、国庫補助の肩がわりで後年度に国庫補助として交付される無利子の特定資金公共事業債、いわゆるNTT債が含まれており、これを除きますと、実質43.1 %の伸びとなります。確かに、前年度対比では大きな伸びにはなってございますが、ここ数年極力市債発行を抑制したことによるものでございまして、地方財政計画の中で示しております起債依存度の10.5 %を大きく下回りまして、その構成比では5.0 %にとどまっておるところでございます。 今後とも、市債発行につきましては、その質、量ともに十分配慮してまいりたいと思っております。御理解をよろしくお願いいたします。 ○議長(北市朗君) 駒谷収入役。   〔収入役駒谷良則君登壇〕 ◎収入役(駒谷良則君) 12番山田透議員にお答えいたします。 歳計現金の運用でございますが、御指摘のとおり歳計現金の保管は、地方自治法上最も確実かつ有利な方法によるとの制約を受けており、この範囲内での有効な資金運用が求められております。 本市は、毎年度おおむね上半期に歳計現金に余裕が生じるところから、これの長期の運用といたしましては、大口定期、それからCD、いわゆる譲渡性預金、さらにはMMC、いわゆる市場金利連動型預金などの中から、利率の高い好条件のものを選び預託をしております。 また、一方では、毎月の資金支出状況を勘案しながら、主に外貨預金による小まめな短期運用にも努めてきており、本年度のこの運用回数は既に100 回を超えているところでございます。60年以降金利の自由化が逐次拡大整備されてきております。この4月からも第6次の自由化として大口定期預金とCDの預け入れ最低単位がいずれも現行の1億円から5,000 万円へと引き下げられ、資金運用の幅も一段と広くなるところから、今後一層の研究に努め、取捨選択に誤りのなきよう十二分に留意をしてまいる所存であります。 ○議長(北市朗君) 油屋都市建設部長。   〔都市建設部長油屋賢三君登壇〕 ◎都市建設部長(油屋賢三君) 疋田-御経塚線の整備についてお答えいたします。 疋田-御経塚線のうち北安江町から高柳町の間は、北部運動公園のアクセス道路として利用される計画をいたしております。したがいまして、国体時の供用を目指して、ただいまのところ鋭意整備を進めているところでございます。 お尋ねの県道及び北鉄浅野川線との立体交差につきましては、当該部分がバスの路線として利用されているということもございまして、踏切の廃止ができないのが現状でございます。したがいまして、当面は、県道に平面交差をする計画で進めているところでございます。将来計画といたしましては、金沢駅周辺の道路整備やそれに伴いますバス路線の再編成により、踏切の廃止が可能となった段階で、立体交差化を考えているところでございます。御承知おきを願いたいと思います。 以上でございます。 ○議長(北市朗君) 岩井市民部長。   〔市民部長岩井純雄君登壇〕 ◎市民部長(岩井純雄君) 国民健康保険事業の保険基盤安定制度等の影響額についてお答えいたします。保険基盤安定制度において、県、市それぞれ約8,700 万円、合計1億7,400 万円余の負担が見込まれ、これが保険料の緩和財源となります。また、高額医療費共同事業においては、新たに県の負担が5,700 万円見込まれ、これが同じく保険料の緩和財源となります。しかし、同時に老人保健医療費拠出金に対する国庫負担率の引き下げによりまして、約1億5,700 万円が減額となる見込みでありまして、制度改革による保険料の緩和額は差し引き7,400 万円となる見通しであります。 ○議長(北市朗君) 35番中野光弘君。   〔35番中野光弘君登壇〕(拍手) ◆35番(中野光弘君) 市民クラブを代表いたしまして、5点について質問をいたします。 本定例会冒頭の市長提案説明の中で、「今日、我が国はかつてない豊かな時代にあります。欧米諸国に追いつき追い越すことを夢とし、ひたすら発展に努めてきた結果が、国民総生産で世界の1割を占める経済力をもたらし、先進国のほとんどを凌駕するに至ったのであります」と言われています。確かに、戦後40年余り、日本国民はただひたすらに経済力の向上を求めて、労働に励んできました。この成果が実を結び、今や我が国は、世界の経済大国として位置づけられております。それは、最近の国民所得や対外純資産残高などの経済統計などでも示しています。 しかしながら、一方では、これまでの経済至上主義と言えるやり方が、多くの深刻な問題を招来していることも事実であります。国際調和を無視した輸出志向の経済構造は、巨額の貿易黒字を生み、世界じゅうで「ジャパンバッシング」のあらしが吹き荒れています。また、最近の金余り現象は、国民生活上に直結しない株や土地への投機をあおり立て、国民や企業のモラル低下を招いているとの指摘もあります。 このような状況の中で、私どもは本当に豊かになっているのでしょうか。経済大国とは裏腹に、国民の日常生活の実感は、欧米先進国の生活水準にははるかに及ばないという重大な問題が生じているのであります。その一つに物価問題があります。昨年12月経済企画庁が発表した国民の意識調査では、「物価について満足をしている」と答えた者は、わずかに全体の4%であり、政治に対する関心項目は、どこで調査をしても物価が筆頭であり、経済大国と言われ、円高だと言われつつ、国民は物価について一様に不思議に思っているのであります。加えて、円高メリットをなぜに消費者は享受できないのでしょうか。航空運賃、航空郵便料金、国際電話料金などは、なぜ日本発だけがどうしてかくも高いのか、そしてまた、粉乳はEC産に比べ3.8 倍、でん粉がタイ産に比べ4.3 倍、コンビーフが豪州産に比べ5.6 倍、トマトケチャップが米国産に比べ2.8 倍、米はカリフォルニア産の5ないし6倍、牛肉については豪州産の5ないし6倍ということは、よく知られているところであります。これらの現象はすべて非関税障壁、管理価格、支持価格、行政指導など、政府の市場介入によってもたらされているものであると言われておるのであります。市長は、以上のような物価問題について消費者を守る立場からどのようなお考えであるのか、お伺いしたいのであります。 第2は、不公平税制の是正についてであります。最近、市民の間では税の負担に関する議論が特に高まってきております。私は、本議場で過去何回か取り上げてきました国民の所得に占める租税及び社会保障の負担率をもう一度見てみますと、60年度36%、61年度36.1%、62年度35.4%となっております。これからの高齢化社会が進むにつれて、その負担率も高くなってまいることと考えます。負担する国民の理解、協力が大変に必要なことは、これまた論をまたないことと存じます。 そこで、税金の不公平感について、ちょっと古いものでありますけれども、昭和61年2月に内閣総理大臣官房広報室の「税金に関する世論調査」によりますと、「不公平感があると思うか」に対して、「ある」というのは43.1%、「ある程度不公平感があると思うか」について、「ある」が38.2%と、総数の81.3%が「不公平感があると思う」と答えております。そして、不公平感あると思うその理由の多いものを挙げますと、「政策的に優遇されている税金がある」30.7%、「脱税がある」--脱税が摘発されていないということです--37.4%、「サラリーマンと商工業、農業などの自営業者との間に納税方法に違いがある」52.4%、「特定の職業の者と他の職業の者との税の負担に差がある」27.9%となっております。特に多い「サラリーマンと自営業者との納税方法に違いがある」の項目を職業別に見ますと、農林漁業--自営者ですが27.6%、商工自由業--自営者でありますが34.1%、農林漁業の家族従業者27.6%、商工自由業家族従業者33.7 %、管理・専門・事務職が67.3%、労務職56.6%、無職56.3%となっておるのであります。この資料ですべてを律することは問題があるところでありますが、一応その動向を知ることができると思います。不公平税制の是正は、納税者である国民の信頼を得るために、最も必要なことであると考えますが、市長の所信のほどをお尋ねいたします。 第3は、63年度当初予算についてであります。内容を拝見いたしました。積極的で健全な財政を組んだと言われています。確かに、市制100 周年事業、66国体関連事業を含む公共事業に対する積極的な取り組み、そして教育、福祉などの行政水準アップへの配慮、将来を見詰めた減債基金の設置など、その努力は十分に評価されるものであります。いずれにしろ、その基盤は財源であり、前年度に比べ一般会計で6.8 %、全会計で7.3 %の増が見込まれていますが、その見通しについて、また、減債基金の積み立て計画を含めた運営についてもあわせて市長にお尋ねいたします。 質問の第4は、都市計画道路の見直しについてであります。全国的に都市交通における自動車の利用が急増しており、今や自動車は市民生活に欠かせない最も身近な交通手段となっています。これは本市においても例外ではありません。一方、市街地における道路整備のおくれは、旅行速度の低下、道路交通の混雑、歩行空間の不備、交通事故の発生、沿道市街地の環境の悪化など、多くの問題を引き起こしており、市街地内の幹線道路の整備、すなわち都市計画道路の整備は良好な市街地の形成のための最も基本的なものとして極めて重要であると思うのであります。 本市では、かねてより国庫補助対象事業としての街路整備はもちろん、市単独財源の大幅投入による事業推進に努めてこられた実績を評価するところであります。昨年11月の若草-横川線の全線開通に続き、この3月末には森山-有松線の森山-彦三間が開通の運びとなり、さらに提案説明によれば、明年度中には小立野-古府線の犀川大通りから小立野通りの間、並びに有松-四十万線が全線開通となるとのこと、着々と街路整備が進んでいるのは喜ばしい限りであります。新規着手路線として、都心軸の形成に欠かせない金沢駅通り線や東部環状道路アクセスの小立野-鈴見線などが挙げられていますが、いずれも早急な整備が望まれる路線であり、さらなる努力を期待するところであります。 さて、前にも同僚の川議員が触れました昭和59年度より国、県、市が相協力して調査を進めてきた第2回パーソントリップ調査についてであります。その結果はいかが相なっているのか、お聞かせ願いたいのであります。 また、その結果に基づいて都市計画道路の見直しがなされると思うのでありますが、どのように行われるのか。さらに、今後の事業化の目途はどうか、明らかにしていただきたいのであります。そして、この際、利用度及び現実性に乏しい都市計画道路を整理するお考えはどうかお尋ねをいたします。 最後の質問は、県民オーケストラの結成についてであります。この問題につきましては、既に何人かの議員が触れられたところでありますが、文化都市を標榜する金沢市の音楽水準をさらに引き上げるためにも、また青少年の情操教育のためにも県民オーケストラの結成はまことに結構なことであり、これに反対する市民はいないと思うのであります。この上は、運営費も県が負担されるならなお結構なことでありますが、その運営見通しはまことに厳しく、試算では年間約1億3,000 万円余の赤字が見込まれ、本市にも応分の負担の話があると聞くのであります。単に経費の面だけをとらえてオーケストラの是非を云々することは避けなければなりませんが、少なくとも貴重な市民の税金を注ぎ込む以上は、多くの市民が納得のいく説明、計画が必要であると思うのであります。県民オーケストラの運営等については、これから具体的な検討がなされていくものと思いますが、県民オーケストラに対する市長の基本的な考え方についてお伺いいたしますとともに、同オーケストラの中・長期の運営見通し及び本市の毎年の負担額はどのくらいになるのか、あわせてお尋ねいたしておきたいのであります。 さて、この県民オーケストラの結成を機会に、私は、さらに一歩突っ込んで美大に音楽科を新設し、同大学を金沢芸術大学とすることを提案したいと思います。このことにつきましては、これまで多くの議員から質問がなされているところでありますが、市長はその必要性を認めながらも、時期尚早という答弁に終始しております。しかしながら、金沢の芸術文化の殿堂として現在の美大を芸術大学にすることは、43万市民の夢であり、県民オーケストラが結成される今こそが、芸術大学発足の好機であろうと思うのであります。そのための先行投資、あるいはクラシック愛好者の底辺拡大のための先行投資と考えれば、オーケストラの運営費負担もまことに意義深いものになると考えるものであります。施設その他いろいろの問題があり、すぐにというわけにはいかないと思いますが、音楽科の併設による美大の総合芸術大学化について、市長のお考えをお伺いいたします。 以上をもって、私の質問を終わります。(拍手) ○議長(北市朗君) 江川市長。   〔市長江川昇君登壇〕 ◎市長(江川昇君) 35番中野議員から、物価問題からオーケストラまで詳しく御質問がございましたので、お答えをいたしますが、まず、物価問題でございます。物価問題を私ども自身が論じ、またここで決定的なことを申し上げることは到底できるものではございません。御指摘の物価格差現象は、国内産業にかかわる諸問題や消費者の嗜好から一概には言えないが、欧米の主要都市に比べて日本の物価が高いと言われておるのも事実でございます。 今、貿易摩擦から問題となっている貿易自由化の円滑な解決を初め、円高差益の還元が今後ともより一層図られるように我々は強く期待するものであります。消費者を守る立場にある市長でございますが、この問題については、私は深い関心を持っておりますけれども、ここでこうすればいいということをはっきり申し上げることができないことを非常に残念に思います。しかしながら、物価はいつまでも安定をしなけりゃなりません。どこかの線で安定をした物価でもって続けなきゃならぬと思いますが、物価そのものの安定は、最近ようやくその緒についておるようでございますが、要は、そのもとである物価そのものが高いという点につきましては、これは我々は今申しましたような点で、強く望むだけでございまして、ここにそれ以上申し上げることができないことを非常に残念に思います。 不公平税制の是正でございますが、国民の中には中間所得層の重税感、勤労者と事業所得者との負担感の違いがあることは御指摘のとおりでございます。しかし、税は負担の公平が基本であり、不公平感をなくすることは今日の重要な課題であると考えております。 ただいま税制調査会等において、高齢化社会の進展、社会経済の変化等を長期的に展望いたしました抜本的な税制の見直しが審議をされておりまして、その推移を深く注意し、重大な関心を持って見守っていくことが、私たちの今の態度でございます。しかしながら、税制につきましては、国税、地方税を問わずやはり公平であり、公正であることが望ましいのでありまして、我々は、あくまでもその点においては信念として持っておるわけでございます。 第3番目の財源の見通しと明年度以降の動向でございますが、明年度予算において地方財政計画を上回る予算を組みましたのは、1つには行革の推進による財源の捻出、経済の復興による税収の増、積立金の活用にあると私は考えております。しかし、我が国を取り巻く諸情勢はますます厳しさを増し、欧米諸国との貿易摩擦、アジアの新興諸国の追い上げ、農産物の自由化など、楽観は決して許さないものがあるわけでございます。諸情勢はいかに厳しくとも、行政に停頓は許されません。常に市民の心を心として最小の経費で最大の効果を上げるように、粉骨砕身努力を重ねてまいる所存であることで、変わらざる御支援を切にお願い申し上げたいと存じます。 次に、財源問題のうちの63年度税収入見込みと64年度以降についてでございますが、63年度の市税の収入見込みについては、内需を軸にして上昇傾向にありまして、過去の実績、地方税制の改正等を総合的に勘案して見込んだものでありまして、確保できるものと私は考えております。 64年度以降については、経済の動きや税制改正等が不確定であるために、税収の予想は非常に難しいという状況にございます。しかし、国庫補助による路線による道路、つまりお挙げになりました道路の開通の数カ所、またさらに近いうちに開通しようとする道路、そういうものについては何としてもやらなきゃならぬという計画の中にありますので、これは確実にやってのけたいと思っておる次第でございます。 減債基金の問題でございますが、減債基金の積み立て計画等活用する場合はどういう場合かという御質問でございますが、減債基金は、従来の市債発行の抑制に加えまして、償還財源の確保という面から長期的視野に立って創設いたしたわけでございます。とりあえず1億円を積み立てることといたしましたが、今後の公債費の動向、財政事情等を十分考慮しながら積み増しをしてまいりたいと考えております。運用に当たっては、経済情勢の著しい変化によって財源が不足する場合、繰り上げ償還を必要とする場合、また償還費が他の年度に比べて著しく多額となる場合などを考えての積み立てでございますが、これは最初でございますので、今後、その重要性にかんがみまして積み増しをしていくことは当然でございます。 次に、都市計画事業の見直しでございますが、第2回のパーソントリップ調査の結果についてでございます。10年前の第1回の調査と比較しました交通現況は、自動車、バイク、自転車の急増による交通渋滞の深刻化と、バス、鉄道などの公共輸送機関の利用率の低下などが挙げられるのであります。この調査結果を踏まえまして、良好な市街地の適正な拡大のための広域交通体系計画として、金沢外郭道路の整備、市街地環状道路の整備、南北軸、東西軸の幹線路線が提案されておりますわけでございますが、また都心軸の整備を目指す都心部交通体系計画として、都心部道路の整備、新しい交通システムの導入、冬季及び雨天時の交通対策などが提案されております。今後の都市計画は、これらの提案を十分斟酌をして進めていく必要があると考えております。 都市計画事業の見直しの基本方針と今後の事業化の目標でございますが、将来計画の見直しは、都市圏内の交通を円滑に処理する道路網の整備、都市部の町づくりのための道路の整備、大規模プロジェクトに対応した道路整備などに特に留意して行う方針であります。都市計画道路は、都市の骨格をなすものとして、相互に有機的に機能するように定められておることも御承知願いたいと思いますが、そのため、明年度都市計画道路整備需要調査費を計上し、今後10カ年間における投資効果の調査、整備優先順位の検討を行い、今後の都市計画道路整備を進めていきたいと思うのであります。 最後に、オーケストラの設立についての基本的な考え方その他でございます。オーケストラの設立につきましては、先ほど来申し上げましたとおり、文化都市を目指す本市といたしましてまことに有意義であり、青少年の情操教育を初め、我が金沢伝統の邦楽との共演がございます。そして、これらによって本市の音楽人口の拡大とレベルアップに大いに役立つものと思いますが、運営費補助につきましては、今後の経緯を見きわめまして、補正予算で対応していきたいと思っております。一体今後幾ら必要か、これはまだはっきりいたしませんが、今後、十分負担のかからないような方法を考えてまいるつもりでおります。 オーケストラ結成を機に、美大に音楽学部の新設をというお話でございます。美大に音楽学部を設置することについて、本市と大学にとって将来の発展につながる重要な課題であると私は思います。当面は、まず美術工芸学部の充実に努めてまいりたいと思いますが、音楽学部の設置については慎重を期して、そして研究を重ねていくつもりでございます。 ○議長(北市朗君) これにて、本日の質疑並びに一般質問を終わります。 △散会 ○議長(北市朗君) よって、本日はこれにて散会いたし、次の本会議は明11日午前10時から開きます。 本日はこれにて散会いたします。 午後3時36分 散会 -------------------------------------- 〔参考〕 -------------------------------------- 昭和63年定例第1回金沢市議会               発言者順序表 発言予定日 発言順序 議席番号 議員名 所属名   3   月   10   日  (木)   1  42 末岡尚  自民   2  36 平田誠一  社会   3  8 森尾嘉昭  共産   4  12 山田透  公明   5  35 中野光弘  市民ク   3   月   11   日  (金)   6  1 石坂修一  自民   7  33 寺中隆善  社会   8  16 小津正昭  自民   9  14 杉浦常男  共産   10  20 西村直則  自民   11  31 出石輝夫  社会   12  11 南部康昭  公明   3   月   12   日  (土)   13  5 中村勲  自民   14  13 升きよみ  共産   15  19 田中昭吉  自民...